2019年7月17日

愚直の人

  • 本部スタッフ
  • 本部・広報室の林です。

    月刊「OISCA」7月号の「国際協力の現場から」のコーナーに
    以前からずっと登場してもらいたいと思っていた海外スタッフに
    寄稿してもらうことができました。

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    彼の名前はダンテ。
    フィリピンのネグロスにあるバゴセンターのスタッフです。

    私がオイスカ高校に勤務していた時、留学生としてやってきた彼は
    あまりしゃべらず、あまり笑わず、ちょっと暗い印象の生徒でした。
    決して器用ではなく、日本語の習得にも時間がかかったことが原稿にも
    書かれていましたが、周囲は彼の実直な人柄を評価していました。

    彼の卒業から7年目、ついに私はバゴセンターを訪ねる機会を得ました。
    久しぶりに会った彼は、ちょっとはにかんだだけで握手をかわし
    そっけなく、去っていってしまった。ダンテはかわらないなぁ~。
    (私との再会がうれしくなかっただけかもしれませんが……泣)

    うれしかったのは渡辺所長の彼に対する評価。
    「彼がいないとセンターは動きません。事務仕事全般は彼に任せています。
    パソコンにも詳しいし、本当に助かる。
    彼の“嘘のない仕事”は日本人支援者からも支持されている」
    と所長は右腕であるダンテをほめていました。

    今回、日本人駐在員の協力を得ながら彼が書いてくれた原稿で
    私は、彼があまりしゃべらず、
    あまり笑わない青年であることの理由を知りました。

    そしてダンテらしいなぁと、うるっとしてしまったのは
    「自分のためではなく、支えてくださる方々や、
    センターのために、勉強や学生生活を精一杯頑張ろうと
    自分自身と約束した」というくだり。
    あの時のあなたは、そういう気持ちだったんだね、と
    当時、口には出さなかった彼の思いを知ることができ、
    この原稿を書いてもらってよかったと心から思いました。

    自分自身との約束をすぐ反故にしてしまう心の弱い私にとって
    愚直で、心の強い彼は、私よりずっと若いけれど、
    目標としたい人のひとりです。

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