ラバウルで使われている貝のお金(タブ‐Tabu)その2

2020年5月8日 ( カテゴリー: 海外スタッフのブログ )

その1のつづき

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この大きな輪っかもタブ

タブ(貝のお金)に使われる貝は、ラバウルの海では採れない貝です。

ラバウルはニューブリテン島の北東に位置しますが、この貝はこのニューブリテン島の南海岸の西ニューブリテン州、マヌス島、ブーゲンビル島、そして海外になりますがソロモン諸島の一部で採れる貝です。

貝自体何の変哲もないただの貝です。姿形も普通だし、カラフルでも何でもありません。でもやはり交通の発達していなかった百年以上前、人を喰い合っていた時代、徒歩或いはカヌーを漕いで危険を冒してタブを採りに行った、その命を懸けて持って帰った貴重な貝、という事でその貝に大きな価値が付いたのでしょう。

トライ部族の一行が、何か物々交換に相応しいものを持ってタブと交換した事はほとんど考えられませんし、土地問題が今でも厳格ですが、昔言葉も部族も違う者たちが、海岸で自由にタブを採った?ということもほとんど考えられません。アサリを採る潮干狩りのように、砂浜をほじくり返して採れるものではなく、3mから10m近くある深い海底にいる貝ですので、ピクニック気分で現地に入り2~3日隠れてタブを採る事もできなかったと想像されます。

今は、目の細かい網にココナッツ(コプラ)を掻いた実を置いて、石を重しにして沈めて、タブの貝を寄せて採っていますが、昔はどうやっていたのでしょうか? 今までこのタブがどうして現地の通貨になったか考えたり、古老に聞いたりしたことが無かったので、今度聞き取り調査をしたいと思います。

この貝数百数千を籐のヒゴに通してお金にするため、小さな巻貝の尖った部分を切り取って穴を開けなければなりません。今はペンチでひとつずつ穴を開けていますが、昔は石を使ってコツコツと叩いて穴を開けていたそうです。昔々のトライ人はカヌーに乗って或いは徒歩で、人食い人種がいる全く別の部族の村を通ってタブのある村にたどり着き、命がけで採ってきた貝・タブ。

村に帰ってから時間を掛けて貝の身を取り出し、ひとつづつ穴を開け、マラリア蚊が繁殖している森に入ってトゲのある籐を収穫して、トゲを取り除き、ツルを割いてヒゴを作り、乾燥させてからタブを通してやっとトライ部族のお金になる。色々その工程を考えると、その貴重さと価値が分かります。

現地のお金ですから、このタブを目的にした泥棒がいます。普通あなたの家にどれくらいタブがありますか?と聞いても教えてくれません。この質問はあなたの口座にはいくらお金がありますか?という質問と同じだからです。

ソロモン諸島からパプアニューギニアに持って入るタブには税金が掛けられます。確か10年位前東ニューブリテン州として、このタブを州の通貨にする、という条例ができました。

 


その3も予定しています。お楽しみに!(倉本)