はじめまして。国際協力ボランティアの家老です。
 先日、はじめて名取へ行ってきました。
 仙台空港からほど近い名取事務所。
東北弁の響きが素敵な方々のもとで、めんこいクロマツは、すくすく成長していました。
初めて訪れた私にとっては、ここで見るもの体験するもの、なにもかもが新鮮でした。
そんな中で生まれたたくさんの素人目線の疑問。
再生の会のみなさんが、やさしく丁寧に教えてくださいました。
Q1 「どうして松なのですか?」
A1 「クロマツは養分のない土壌でも育ちやすいんだ。それに加えて塩害にも強いから、海岸に植えるには適しているんだ」
Q2 「クロマツとアカマツの違いってなんですか?」
A2 「クロマツは、葉が太くて、木の肌がこげ茶。そして塩に強いんだ。反対にアカマツは、葉が細く、木の肌が赤茶色で内陸部の乾燥したところに適する木なんだ。だから、海岸林にはクロマツの方が適しているんだ。ちなみに、この地域では、クロマツを男松、アカマツを女松とも呼んだりしているんだよ」
Q3 「どうして直播ではなく、コンテナで苗を育てているのですか?」
A3 「コンテナは、ポットを24個連結したものだが、これに培養土を入れ、種を播き、密度の高い根にして培養土をつけたまま根付けるから、活着率がいいんだ。直播にすると苗が地下深く伸び、側方へ伸びる根が多く、根切が必要になる。苗に負担をかけることから活着率や、植付後の成育が若干低くなる。このような理由からコンテナに切り替えているんだよ」

コンテナで育てた苗

コンテナで育てた苗


苗の比較

苗の比較


 
 
 
 
 
 
 
 
 
Q4 「コンテナで苗を育てることの長所ってなんですか?」
A4 「直播の場合は、床替えをする必要があるが、コンテナ苗は必要がないから、省力化できること、少ない面積で多くの苗を育てることができることかな」
Q5 「コンテナで苗を育てることの短所ってあるんですか?」
A5 「やっぱりコンテナの購入費等、コストがかかってしまうんだよな。それから、徒長苗になりやすく、根元の直径(樹幹径)が太くならず、水管理も難しいな。徒長苗っていうのは、根っこの重さよりも地上部の重さが重くなることで、簡単にいうと、根元の直径に対して、苗の長さが長くなりすぎることなんだ。徒長苗とは、重量比で判断するんだよ。どうして徒長苗になりやすいかというと、コンテナ苗は、決まった間隔の中で成長するため、根を横にはることができないからだ。そのため、上へ上へと伸びてしまうんだよ」
Q6 「空中断根ってなんですか?」
A6 「根鉢をつくるために、地面に置いてあるコンテナ苗を10cm~15cm高く上げることだよ。そうすることで、コンテナの下から伸びてしまった根が地面から離れて、クロマツ自身が根を強くしなければ、強くしなければ・・・・・・と思って、ポットの中に根を張り巡らせるんだ。これによって根と土が固まり、結束が強くなるんだ。これを根鉢というんだよ」
このように高くして、空中断根します

このように高くして、空中断根します


コンテナの下から土に伸びた根

コンテナの下から土に伸びた根


 
 
 
 
 
 
 
 
Q7 「ここに来てから、施肥や追肥ってよく耳にするんですが、施肥や追肥ってなんですか?」
A7 「苗木に肥料をあたえることだよ。松は、ひとつひとつ成長が違うんだ。天候だったり、害虫だったり・・・だいたい海岸に植える前までに、25cm~35cmの高さがあるといい苗なんだ。そうなるように、苗の成育状況を見ながら、肥料の量を調整しているんだ」
 
 2日間の滞在のなかで、名取のみなさんのおかげでたくさんのことを学ぶことができました。ここに来る前に、話を聞いたり、インターネットで写真を見たりもして、イメージはできていました。しかし、実際の現場から、体で感じるものは、想像をはるかに超えるものでした。あの広大な面積に、小さなクロマツが、たくさんの方の支援とたくさんの方の手により、守られ、育っていく姿は、感動そのものでした。
 名取のクロマツは今日も、多くの方の希望を背負って元気に成長しています。

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