いきものの移り変わり

2016年7月19日( カテゴリー: いきもの, 現場レポート )

クロマツの生長、雑草の毎年の変容もさることながら、生き物の移り変わりは、
担当者としての楽しみの一つです。

震災後5月24日、被災海岸林を踏査したとき、まず気になったのはアリジゴク。
林内には津波による海砂があふれ、そこに無数のアリジゴクが侵入していました。
それらをいまは見ることはなくなりました。
津波のあと、夏の大雨が引きついで、沿岸部には水溜りが残り、
広浦のヨシ原は、あっという間に仙台空港の近くまで2.5kmも拡大しました。
岩手大学の先生は「海岸林の植栽が始まった400年前の荒野に戻った」と。
カニや、ザリガニが異常に増え、雨の翌日の朝は、復興の車両による轢死が道路に多数。
カラスやトビなどが、それを朝ご飯にする姿をよく見ました。
盛土や農地が復旧された今、もうその光景はありません。
水辺の残るところに移動したのでしょう。
震災から2年間は、コブハクチョウが1匹住み着きましたが、もう何処かに行きました。

植栽基盤盛土工事が始まる直前の2014年植栽地付近。倒伏したクロマツやアシ原を、名取市海岸林踏破ツアーとして90名で7kmを歩いた。(2012年9月12日)

植栽基盤盛土工事が始まる直前の2014年植栽地付近。
倒伏したクロマツやアシ原を、名取市海岸林踏破ツアーとして
90名で7kmを歩いた。(2012年9月12日)

アシ原が増えた2011年、2012年の夏は、数多くの種類のトンボを見かけました。
トンボの種類が多いというのは豊かな生態系の指標と聞いたことがありますが、
オニヤンマなどの大型も、感心するほど多くのイトトンボ類も見ました。
いまはそれほど種類が多いと感じるわけではないですが、
秋は、アキアカネが防潮堤のテッペンに沿って飛ぶ姿を楽しく眺めています。

盛土が完成して、クロマツを植えた途端、雑草が増えるとともに、
タヌキやキツネの足跡が一気に増えました。「タヌキの溜め糞」は植栽地に多数あります。
キツネは昼間に何度か見ています。防潮堤を乗り越える足跡も見ます。
海辺に打ち上げられたカニや魚などを食べるのか?
猛禽類が泳いでいる大きなワタリガニを捕まえて、防潮堤のテッペンで食事した跡を見ます。
タヌキらはその残りかすを食べるのでしょうか。

農地復旧工事が最終段階を迎え、震災後に生まれて内地と隔てていた湿地が埋め立てられ、生き物が侵入しやすくなった(2014年8月2日)

農地復旧工事が最終段階を迎え、震災後に生まれて
内地と隔てていた湿地が埋め立てられ、
生き物が侵入しやすくなった(2014年8月2日)

私も含め、地元の人も「ヘビは一度も見ていない」ともっぱらの評判。
冬眠していない夏から秋は、猛禽類の天国です。
トビ、ノスリ、ミサゴ、チョウゲンボウ、ハヤブサなど。
いずれにしても、それらがヘビを全部食べ尽くすとは思えないのですが。
カラスは常時群れを成しています。寒い時期はカラスの楽園ですが、
これからは猛禽類とカラスの喧嘩のシーズンです。
ハヤブサの奇襲攻撃は、海岸林現場の見ものの一つです。

植栽地にはネズミの巣穴が多数。
とくに、誘導灯周辺。巣穴近くのクローバーなどの草が押し潰されています。
タヌキやキツネが、出てくるまで待機していたのではないかと。
猛禽類も獲物としていると思います。

5・6月、クロマツ植栽地は、カラスなどが居るためツバメは来ませんが、
ヒバリ、ハマチドリ、カモの営巣地です。私たちや森林組合、ボランティアと共存しています。
クロマツの根元に卵が多数産み付けられて3年。

草刈りの時にボランティアの方が見つけたカモの卵。クロマツの根元で。(2016年6月18日)

草刈りの時にボランティアの方が見つけたカモの卵。
クロマツの根元で(2016年6月18日)

いつか遠い先、樹高が15mぐらいにでもなったら、猛禽類の営巣地に変わるのでしょう。
一昨年6月、数本残ったマツの上にいたトビ?が、建設会社の従業員のアタマを攻撃しました。
子育て時期の6月の、「KY(危険予知)」の1つです。

その他、植栽地の排水溝には、カニや、オタマジャクシ(アオガエル)、
クロマツなどに付くアブラムシを目当てにした??テントウムシもよく見ます。
ミツバチはよく見ますが、林業では身近で、危ない存在の
アシナガバチやスズメバチ、ジバチやササバチはまだ見ていません。

1.3m×1.3m間隔で植えたクロマツ植栽地は、いまは荒野のようですが、
いずれ、樹が生長し「鬱閉」されます。上から見ても地面が見えない状態です。
その状態のいきもの、さらに約20年後の、本数調整伐(間伐)の後のいきもの、
毎年変わってゆくでしょう。

防風垣の中は子どもも入りたがる。涼しいし、安全で、動物の足跡が多く、けものみちにもなっている。(2016年6月18日)

防風垣の中は子どもも入りたがる。
涼しいし、安全で、動物の足跡が多く、けものみちにもなっている。(2016年6月18日)

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