襟裳岬海岸林にて

襟裳岬海岸林にて


まとまった記述は読んだことがありませんが、
実は100ha規模の広大な海岸林には展望台がつきものです。
私が覚えているだけでも、
●北海道 襟裳岬
(国有林内、高さ20m以上、冬季以外常時開放)
●青森県 三沢市五川目
(防潮堤沿い市立公園内、高さ20m以上、常時開放、無着陸太平洋横断の出発地記念公園。サーフィン客多い)
●青森県 屏風山海岸林
(国有林内小園地に2カ所。高台に高さ10m程度、常時開放。遭難ロシア船救助の記念碑あり)
●秋田県 能代市 風の松原
(能代港敷地内、高さ20m以上、日中開放、港湾関係者の避難用)
青森県三沢市海岸林にて

青森県三沢市海岸林にて


青森県つがる市 屏風山海岸林 その①

青森県つがる市 屏風山海岸林 その①


青森県つがる市 屏風山海岸林 その②

青森県つがる市 屏風山海岸林 その②


●千葉県 山武市 九十九里浜(保安林隣接の市立公園内、高さ20m以上、日中開放、
周囲に他に避難先ナシ)
●千葉県 富津市 富津岬(県立富津公園内に2カ所、高さ20m以上、日中開放、太平洋戦争時の遺構アリ。
明治天皇即位100周年記念事業で民間助成も得て建設)
●静岡県 磐田市 遠州灘海岸林(保安林内小園地、高台に高さ10m程度、常時開放)
●静岡県 静岡市 遠州灘海岸林(防潮堤沿い小園地、高さ10m程度、常時開放、震災後設置)
●静岡県 湖西市 遠州灘海岸林(保安林内小園地、高さ10m程度、常時開放、太平洋戦争時の機関銃砲台跡地)
蓮沼海岸公園展望台から

蓮沼海岸公園展望台から


 
千葉県山武市 蓮沼海岸にて

千葉県山武市 蓮沼海岸にて


 
 
 
 
 
 
静岡市西島地区海岸林にて

静岡市西島地区海岸林にて


 
 
 
 
千葉県富津岬海岸林にて

千葉県富津岬海岸林にて


●徳島県 海陽町 大浜海岸(防潮堤沿い小園地、高さ10m程度、常時開放)
●佐賀県 唐津市 虹ノ松原(背後の標高283mの鏡山公園に佐賀県が展望台を設置。常時開放)
●タイ南部 ラノーン県4,000haマングローブ林
(国のマングローブリサーチセンター内、環境学習・視察用に林内に木道なども設置)
時間問わず常時開放が多いのも特徴です。事実上の避難タワーを兼ねて。
宝くじ協会など民間助成も得ながら、公園として、駐車場、時計、水道、トイレ、ベンチ等とセット。
南海トラフの危険がある地域では、東日本大震災後に「津波避難タワー」として、
鉄筋性のものが続々設置されていることでしょう。
「アタマから枯れ始める松くい被害を、上から見抜きやすい」
(東北森林管理署金木支所)と実用的ですが、
いずれも建設後10年20年を遥かに超えるものばかりで、
松くい以外にも意図があった気がします。
遠足で来れるような環境が整えられています。
「将来の世代に感じてもらう場を」と思ったのではないでしょうか。

将来、今あるマツはすべてが一様に生長するわけではありません。
遺伝子の違いもあれば、同じ一角でも、柵の近くと遠く、水捌けの良しあし・・・
「劣性木」と呼ばれる木が必ず出てきます。
私の神奈川での林業労働者時代「下っ木」と呼ばれていた、
劣性木伐採は、除伐対象になる可能性もあるし、
本数調整伐(いわゆる間伐)まで待つ可能性もあります。
そのあたりは、今後の管理方針として検討されるはずです。

津波の影響を受けた枯損木。これを伐倒してから植栽基盤盛土の造成が行われる(2018年1月 青森県おいらせ町)

津波の影響を受けた枯損木。これを伐倒してから植栽基盤盛土の造成が行われる(2018年1月 青森県おいらせ町)


海寄り最前列。名取の倍の10,000本植栽、樹齢20年弱ではないかと思われる。中央の松のように、劣性木は当然立ち枯れる

海寄り最前列。名取の倍の10,000本植栽、樹齢20年弱ではないかと思われる。中央の松のように、劣性木は当然立ち枯れる


いまも復旧が続く青森太平洋側の津波被害地では、被害マツをチップ化せず、
排水溝に丸太のまま敷き詰めるなど、キッチリ「集積」していました。
「溝に集積するなら、本当は土をかぶせたほうが、溝の機能を維持できる」と
あとで佐々木統括から教わりました。
ちなみに、公共工事では、仕様書で集積の指示をすれば当然費用が発生します。
溝の崩壊を抑えるためかと思いましたが、いずれにしてもお金をかけて
林外搬出・廃棄していませんでした。
中央は枯損マツの枝条を、右は幹を排水溝とに分けて集積

中央は枯損マツの枝条を、右は幹を排水溝とに分けて集積


排水溝。マットを敷いたうえで枯損マツを活用。場所が違えば、設計者も違う。同じであるわけもなし

排水溝。マットを敷いたうえで枯損マツを活用。場所が違えば、設計者も違う。同じであるわけもなし


ちなみに、襟裳や唐津では、バイオマス工場の受け入れ体制があり、遠くでもないので、持ち込んで買ってもらうと聞きました。
目下、宮城にはその体制はなく、林外搬出すればコスト上乗せになります。
宮城でも、いずれ落枝や枯損木、劣性木の処理方針を検討することになるでしょう。
枯損木の幹は松くい虫の発生源にもなり、その駆除はもちろん、土壌の富栄養化を避け、マツの純林にこだわるならば、落ち葉も含めた処理も
必要になりますが、長期的には、むしろ広葉樹との共存という現実的な対応が
テーマになると思うし、費用的に見ても、松葉掻きや、林外搬出の選択肢は今のところ
難しいだろうと考えています。和歌山では「松きゅうり」として、松葉を利用した
野菜作りも話に聞きます。しかし松葉の肥料化は、虹ノ松原でも挑戦されていましたが、
今のところまだ、現実社会で機能したと言えない状況のようです。
大阪マラソンの会場で、iPS細胞研究所の方が名刺交換、挨拶が終わるか否かで
「松葉は何か使えますか?」と聞いてくれました。家の庭に松でもあるのか、
子どもの頃、松林で遊んだのか・・・
いずれにしても、鋭い質問だと感心しました。

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