Post2020雑感④ 2021年以降の森の姿と、やるべき施業

以下、不勉強を露呈することになる可能性もありますが、自分の責任で思い切って
書いてみます。明日は2030年以降を想定してみます。

●上から地面があまり見えないぐらい、枝がビッシリ

2014年植栽地は植えてから7年が過ぎ、歩くには、松をかき分けて一苦労でしょう。
そういう中でも、太陽を求めて「つる草」は這い上がってきます。ニセアカシアも
わずかな日光でも生き抜くと言われています。2014年植栽地は、2021年以降も
つる切り・除伐が続きます。公共工事にはないボランティアの手が入り続けている
という「特殊事情」が名取にはありますから、プロの手を要する負担は軽減されて
いる可能性もあります。

●2014年の初植栽ゾーンの平均樹高は1.5mを超えるか

2014年に初めて植えた個所は、高さ1.2mの静砂垣、高さ1.6mの防風垣を越えるマツ
がたくさん出てくると思います。防風垣の高さを超えると 海岸林としての役割・
機能を、徐々に果たし始めると言ってよいのだと思います。風が直接当たります
から、海側の枝は、潮風をまともに浴びて、すべて枯れたようにも見えるでしょう。
長く伸びた新葉は強風に煽られ、たくさん折れてしまうこともあります。
防風垣や静砂垣は、依然として木を保護する役割を果たしつつも、耐久年数10年と
いう限度が少しずつ迫り、朽ち始めるものも散見されるはず。撤去されることは
なく、さらにその先、完全に朽ち果てるまで役割を果たし続けます。

日本一の強風地帯と言われる襟裳岬の最強風地点でも、植栽5年後には1.6mの防風垣を超える個体も多数。

日本一の強風地帯と言われる襟裳岬の最強風地点でも、植栽5年後には1.6mの防風垣を超える個体も多数。

●下刈のボリュームは徐々に減ってゆく

名取の最後の植栽は、予想では2020年。数ha程度、空港東側の元私有地周辺が残る
と考えています。普通は「植栽から7年は下刈」です。名取の下刈ピークは2020年。
計算上、2014年植栽地は2021年には下刈をする必要はなくなります。全体の仕事量
は毎年下降し、面積は少なくなっていますが、2026年頃までは下刈は続くでしょう。
一番下の枝まで日光を当てることが重要で、庭の様に潔癖に草刈りするのではあり
ません。名取の場合は、全体の面積が広いと言っても、植栽直後からボランティア
とプロの併用で、コンスタントに下刈を続けているので、他地区よりボリュームは
軽いと予想しています。また、先々のために、2020年中に初めての「育樹祭」を
開催するのも良いかもしれません。

●つる切り・除伐は、手を抜けない

「除伐」とは、必要な樹種以外を伐採する意味。名取では特にニセアカシア。
葛、ニセアカシアの繁殖力の強さは折り紙付き。多くの方に知っていただいた
と思います。佐々木統括は「闘いと思って臨まねばならない」と繰り返し私に
言います。宮城南部は、大量に生えていたところに高く盛土をして、大半を埋め
たので、現在同様、徹底駆除を続れば、他ほどボリュームは多くないだろうと
予想しています。とにかく、名取では、除伐後は、「即、薬剤塗布」を、すでに
今から森林組合にお願いしています。ボランティアの手も動員して「芽かき」も。
夏、芽が出たてのニセアカシア・葛を見つけては掻き取る。もしくは抜根。
佐々木統括からは、一番エネルギーを消費している夏に刈り取る「山芋理論」を、
叩き込まれています。

●生長予測

東日本大震災の復旧個所は「人工盛土」という特殊事情があり、率直に言って
「わからない」という現状です。清藤先生、佐々木統括、私で話しても三者三様。
敢えて、盛土の事情を踏まえず、千葉・岩手・宮城・福島の過去データを参考に、
清藤先生に予測してもらいました。 無題

「50年で樹高9m」というと、低いと感じるかもしれませんが、二階建て住宅の
屋根の上。しかも、海側最前列と、内陸側最後列とでは高さに相当の開きがあり
ます。高さ3.2mの盛土の上に9mですから、相当高く見えると思います。

海側からは枯れて見えるが、内陸側から見ると、潮風に耐えて生きていることが分かる。(静岡県御前崎市)

海側からは枯れて見えるが、内陸側から見ると、潮風に耐えて生きていることが分かる(静岡県御前崎市)


つづく

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