測定から観察へ②

2016年9月23日( カテゴリー: 清藤先生の視点 )

これまでの関東以北の海岸林植栽木の成長データから、ここ名取の海岸では10年目で
樹高2m程度に達すると推測しておりますが、3年目でその推測を超えている樹木も見られたのです。
実はこのエリアの植栽木1年目は、全体では生存率は高いものの、
成長は最も遅いグループに分けられていたのです。

2mを超す高さの植栽木

2mを超す高さの植栽木

では今その成長が良いのはどこからきているのでしょうか?
それは3つのキーワードで言い表せます。

「精英樹」、「再生の会1」、そして「裸苗」です。

最初の「精英樹」とは、周囲木と比較して生長がずば抜けて良くその他の形質も良い個体(エリート)を選び、
それを接ぎ木してその精英樹クローン個体群で採種園(タネ取り園)を作り、優秀な親から生まれたものです。
地元の精英樹の子供集団というわけですから生長が優れていると予想されます。
マツくい「抵抗性苗」と比較して「普通苗」と呼んでおりますが、実は成長のよいエリート集団からできた苗です。
海岸林では特に抵抗性を優先して考えておりますが、海岸林の防風、防潮など海岸林の機能を
早期に発揮するためには、成長が良いことに越したことはありません。

2番目「再生の会1」、海岸林で名取を訪れた方々が必ず立ち寄るオイスカ再生の会の育苗場のこと。
ここでの苗木作りは非常に技術的に優れた苗を作っております。極端に伸ばさず、
根元径の太い苗を作っています。それが実は後の生長に影響するのです。

3番目「裸苗」、今はほとんどコンテナ苗による植栽ですが、当初は苗畑に床を作り、
そこに種子を播いて露地で苗を作った苗でした。その苗はコンテナ苗のように土付きではなく、
畑から掘り取った土の付いていない苗です。地下部がコンテナという狭い空間で
育てられていない分、根の発達が豊かな苗です。コンテナ苗は、比較的楽に苗木ができ、
活着もよく植栽時期を選ばない低コスト再生造林向きと、林野庁で推奨しているものですが、
本来なら裸苗の方が良いと私は思っております。

以上3つのメリットが相乗して今の結果が生まれていると考えております。

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