プチクロマツファンの休日  神奈川県真鶴にて その2

2016年12月12日( カテゴリー: 海岸林あれこれ )

広報室の林です。ちょっと時間が空いてしまいましたが
神奈川県・真鶴町で実施したモニタリング調査の報告です。

「海岸林再生プロジェクト」ではまだ小さなクロマツの生育調査ですから
こんな感じでクロマツの根元径や樹高などを測定します。

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img_4121←真鶴の魚つき保安林では、斜面を登って対象地まで行きます。枯れ枝が落ちてきたりすることもありますから、ちゃんとヘルメットを着用して。

そして測定はこんな感じ ↓
油性ペンで対象木の測定位置に印がつけてあるので、そこに合わせ、ふたりでメジャーを回して、「198.7」といった具合に読み上げます。ひとりでは抱えきれない大きな木がほとんどなのです。昨年に比べて2㎝以上太っているクロマツもありました。
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でもここは、クロマツだけではありません。
スダジイやシロダモなどさまざまな広葉樹が生えています。
場所によって広葉樹が勢いよく太っているのに、
クロマツがほとんど成長していないとか、
広葉樹もクロマツも同じように成長しているといった違いがありました。
指導をしてくださった森林総合研究所の専門家の方から
「このエリアではクロマツの勢いが弱まっている。このままクロマツが枯れ、
広葉樹の森になっていくのが自然な姿だと思われます」
「ここは木に沿うようにツルが伸びている。
50~60年前になにかツルが繁茂するような要因があったのでは?
例えば道路をつくるために一部を伐採し、太陽が差し込むような状況ができたとか」
といった説明がなされました。
ここでの生育調査は、今後、この森をどのように保全していくのかを
検討するために行われたものでした。町の人たちの中には、
長く親しんできた“御林”はクロマツがあってこその森と考える人もいれば、
クロマツも広葉樹も生い茂る森がいいと考える人もいる。
現状では、350年も生きてきたクロマツはそろそろ先行樹種としての役目を終え、
広葉樹の森に移行していく段階であると考えられていた中、
今後の対応を考えるためのデータを集めるのが目的で行われた調査でした。
まだ結論は出ません。
エリアごとに目指すべき“望ましい森”の姿は違うのだろうと思いました。
名取の海岸林も空港に近い北釜地区、漁港に近い閖上地区では
その保全や今後の活用の在り方は全く違ってくるのかもしれません。
江戸時代から人々が育ててきた森が、
300年、400年の時を経て、今を生き将来のふるさとを考える人たちが
この森をどう保全していこうかを考え、取り組んでいる様子に、
時間をさかのぼった人のつながりを感じ、表現のしようのない深い感動を覚えました。
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同じ班のベテランMさんは、毎回参加しているのだそう。
理由を尋ねると“御林が好きだから”。
地元の方たちはみんなこの森に親しんで育ってきています。
「調査に参加することで森の中に入り、実際に木に触れることができる」
と、参加の喜びを皆さん異口同音に語っていました。
400年後、名取の人たちが
「なぜここに海岸林があるのか」「どういう経緯でつくられたのか」を
地元の歴史研究者か誰かから話を聞きながら
森の中を散策する会に参加してくれていたら……などと想像してみたり。
楽しいボランティア体験でした!

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