福島大学「生物多様性保全研究室」の学生さんより

2017年7月8日( カテゴリー: 現場レポート )

はじめまして。 福島大学の研究科1年(修士1年)で生物多様性保全研究室に所属している曲渕です。 生態系に配慮した海岸林を作るためには現在の状況のデータを残しておくことが重要です。 そのデータをつくるために昨年から植生調査をしています。 今回はその調査の下見として、オイスカさんで植樹している海岸防災林の現地視察に伺いました。 思ったよりも多くの種類の植物が広く生育しているなと感じました。吉田さんに伺うと海岸林の育成に悪影響を及ぼすクズやハリエンジュ(ニセアカシア)ツルマメなどは排除するがそれ以外の植物は飛砂防止などの理由から抜いていないとのことでした。 実は私は、卒業論文で福島県大洲の海岸防災林の植物相調査(そこに生育するすべての維管束植物の種類を調べること)をして生態系に配慮した海岸防災林育成のための提言をしています。その提言は、悪影響を及ぼす植物は排除するけど、それ以外は活かすということでした。 つまり、まさに提言したことがオイスカさんの海岸林では実施されていたというわけです。提言内容があれほど広範囲で実施されていることに衝撃を受けましたし、生態系に配慮した海岸林が形成されつつある模範的な例であるとも感じます。 S_6339730828171 この写真を見て読者の皆様はどう思われますか? 「雑草だらけでクロマツが育たないのでは」 「景観がわるい」 いろいろな考えをお持ちだと思います。 しかし、この雑草たちが砂が飛ぶのを抑制し、土壌が高温化するのを防いでくれているのです。 またオイスカさんの海岸林周辺では哺乳類や鳥たちの姿が多くみられます。 これらもまた動物たちがだんだんと海岸林に帰ってきて、生態系に配慮した海岸防災林が形成されつつある証拠ではないでしょうか。 この度はお忙しい中対応していただいた吉田さんに感謝申し上げます。 ありがとうございました。

面倒見の良いお姉さんと弟のような2人でした

面倒見の良いお姉さんと弟のような2人でした


吉田:まず、しっかり目的を持った人が来てくれるのは嬉しいですね。 そして、一言一言こちらが勉強になる。予備知識が豊富で、目的を端的に知らせてくれていたので、どういう場所を見たいか、おおよそ察しがつきました。 今回は、彼らが9月あたりに本調査する際、自分たちで歩けるように全体を案内。 (立ち会うゆとりがあれば立ち合いますが)とにかく、目指してゆく場所、足を止めて注目・凝視する場所がその都度興味深い。クロマツだけ見せるのではありません。 砂浜や特徴的植生、その他生き物のことなど総合的に案内しました。私としては、「我々は草も使うんだ」という 考え方をお伝えしました。前・全苗連、前宮城県苗連の太田清蔵会長も「草は全部刈っちゃダメなんだ」と よく話していました。引き続き、周囲や林縁、林内も健全な植物相、生態系も伴った強固な海岸防災林を目指したいと思います。 それにしても最近福島大学にご縁が増えたなあ~ 親しい新聞記者も卒業生でした。
Tシャツに注目。感性と好奇心旺盛なイイ目をしてました

Tシャツに注目。感性と好奇心旺盛なイイ目をしてました

2017年7月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  
月別アーカイブ

ページトップへ