閖上の名取市サイクルスポーツセンター10月OPEN

2020年4月16日( カテゴリー: 現場レポート )

津波から10年目。復興期間最終年。名取の海沿いは、北端の閖上も、南端の空港東の北釜も、その中間も、9年間、工事がないときはありませんでした。閖上は通るたびと言ってもいいぐらい、道路が変わりました。 今年10月、海岸林北半分はサイクルスポーツセンターopenで大きな変化を迎えます。 名取市HP 利用料金が細かく書かれています。温泉もあり、宿泊も可能。1周4㎞のサイクリング周回道も施設も、宮城で知らない人がいない有名旅館グループが管理委託で担うそうです。

手前は、去年のボランティア1,800人で、LLサイズ排水溝だけ1,150m掘った場所

手前は、去年のボランティア1,800人で、LLサイズ排水溝だけ1,150m掘った場所


内陸側から見ると

内陸側から見ると


2011年5月25日、オイスカ調査チームは、この屋上から全景を眺めました。同年10月の視察会では、参加者170人にこの屋上を案内しました。海砂を高く積んだ巨大仮置きが津波来襲方向にあったため、この程度の破壊で済んだと思います。それでも完全に大破・全壊ですが。建物の前にあった、若いクロマツはよく耐えて、粘って、流れず倒伏していました。

上記は私が撮ったものではありません。Youtubeには他にも震災前の様子が分かる動画がたくさんあります。
名取の海岸林北半分は、震災前から限りなく公園に近い潮害防備保安林でした。しかし今までと違うのは、これから延々整備が続くこと。管理者の市当局に深い理解を求め、協力し合い、万難を排して利用者への安全配慮義務を徹底し、感動してもらえる森林にしたいと思います。10月、私も真っ先にサイクリングしてみます。泊まります。いつか8時間耐久ママチャリレースも復活してほしいです。
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近年、「親しまれる森林」の裏側で、林業の世界を震撼させた「奥入瀬渓流訴訟」のように、事故の場合、森林は訴訟で負け続けているという思いがあります。林業側から危険勧告を出し続けたのに、地主や歩道の管理者が取り合わず、枯損木が直撃して重大事故になったと裏話も聞いています。名取のこの建物、舗装された道路を見るたび、「リスクマネジメント」という言葉が浮かびます。
この工事の経過を振り返ると、近くを利用する人や観光当局から見た森林整備は、ボランティアだろうと、プロだろうと、立場などあってない扱いでした。森林法に沿って設置されているはずの名取の潮害防備保安林は、随分安易に、軽く扱われてきました。「保安林をなんだと思ってるんだ!」と怒鳴りつけた国の方もいますが、もうあの一喝は忘れられてしまってるのでしょう。昔、請われて担ったはずの八王子市の観光施設周辺の森林整備で経験し続けた、腸が煮え繰り返るような想いが甦ります。
3月でも水がある

3月でも水がある


ゴミひとつとっても、最近はひどくなってきました。閖上に設置した「名取市市民の森」の看板前だけで写真集ができます。産業廃棄物不法投棄、BBQフルセット投げる人、グレープフルーツとネギ多数、サーフボード・・・。ウンコを残していく人もいます。工事現場の人までが黙ってゴミを拾っています。大学生サークルから電話がかかってきて、ゴミを拾いたいと言ってくれたこともありました。でも、仕事できた人は、ご自分の用事だけ果たして、見向きももしないのでしょう。 絆という言葉は、ここにはもうありません。
ボランティアで集めたごみを一時的に隠してあります。専用回収袋が足らなくなってしまって。

ボランティアで集めたごみを一時的に隠してあります。専用回収袋が足らなくなってしまって。


今年から再び、力の半分ぐらい行政との連携、市民に向けた発信に注ぐ年にします。3月末~4月上旬の出張は、その幕開けという気持ちでした。利用と整備それぞれが、お互いを認め合い、協調しながら維持管理に努めたいと思っています。何人かの行政マンと会い、もう一度気を取り直して信じてみようと思いました。
この看板の前は、10日後にはゴミだらけでした

この看板の前は、10日後にはゴミだらけでした

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