「海岸林再生プロジェクト 10 ヵ年計画」
日本森林学会で現場の体験を発表 若者の参画機会増加も顕著に

2019年5月8日 ( カテゴリー: 国内ニュース )

3月20日から4日間、日本森林学会の第130回大会が新潟市で開かれ、海岸林再生プロジェクト担当部長の吉田俊通が、宮城県名取市で進める事業の現況と課題について報告しました。このプロジェクトに関する学会での発表は初めてです。

森林学会で発表する吉田(左奥)

大会には大学や研究機関の研究者をはじめ林学を専攻する学生、国や自治体の林政担当者などが全国から参加。吉田が出席したのは「津波に関する減災を目的とした『多重防御』の一翼を担う海岸防災林造成のための生育基盤盛土の現状と課題」―「樹木根の成長と機能」共同シンポジウム―(森林総合研究所企画)です。東日本大震災の津波で海辺のクロマツが根こそぎ倒れたのは、海岸部の地下水位が高く、根が垂直に深く伸びなかったためではないかといわれました。そのため、東北各地で進んでいるクロマツ林の再生事業では、高さ2〜3mの盛土をした地盤に苗を植えつけるのが一般的です。

このシンポジウムは、盛土の性質はマツの成長や根の発達にどのような影響を及ぼしているのかといった問題意識で開かれたものです。

全体的に学術的な分析が中心でしたが、吉田は現場を知る立場から発表。植栽から3〜4年で、場所によって苗の成長にはっきり差が出ること、 盛土の質に合わせた作業を心がけ、水はけの悪い場所では排水路づくり(溝切り)をボランティアが続けていることなどを、約50名の参加者に紹介しました。

不法投棄されたごみを分別するボランティア

高校生による溝切り作業

盛土はブルドーザーなどの重機を使って地ならしをするため、土が固められて硬くなりがちです。シンポジウムでは、硬すぎる土は下に伸びる根(垂直根)の発達を妨げるというデータや、硬くても小石交じりだと根は隙間を縫って伸びるものの、土中の滞水によって苗の成長が遅れるという「硬さより水はけ」を課題とする事例発表がありました。また、地下水位が高くて垂直根が伸びないと、胸の高さの幹の直径が同じでも、垂直根が発達したクロマツに比べて背が高くならないこと、一方で地上部の木の体積が同じだと、垂直根の有無にかかわらず倒そうとする力に対する抵抗力は同じだということなどの観察・実験結果も紹介され、オイスカのプロジェクトでも参考になるような研究成果を知ることができました。

プロジェクトの現場では、昨年までに70ha、35万本の植栽を終え、これからは管理作業が中心になります。3月16日には今年のボランティア活動が始まり、さっそく一般の方30名が溝切りやゴミ拾いに精を出したほか、同23日には宮城県名取北高校野球部の教師と部員29名が初めて訪れ、スコップを振るいました。同校では現場で生物の授業をすることを検討するそうです。

オイスカでは、今後も学校との協力関係を通じて、地元の若い人たちのプロジェクトへの関心を高めていきます。

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