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学校林活動

学校林って何?
各地で進められている「学校林活動」
関係者インタビュー
関連リンク:林野庁「学校林・遊々の森」全国子どもサミット
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学校林って何?

学校林面積の推移

学校で木を植えれば“一石三鳥”

 学校林と聞いて、何のことかすぐに分かる人は、40歳代以上の方に限られるかもしれません。  1974年には、全国5256の学校(小中高)が学校林を保有していて、面積も約3万ヘクタール近くありましたが、2001年時点では3312校、面積約2万ヘクタールにまで減少しています。そのうち、学校林を実際に活用している学校は約25%、1183校にとどまっています(国土緑化推進機構調べ)。最近の若い人たちの中には、「学校林」と聞いてもピンとくる人が少ないのも無理ありません。

 日本での学校林は、明治28年に来日した米国人の教育家・ノースロップ博士から紹介されたことが最初とされています。当時、米国ではネブラスカ州など荒れた原野が広がる地方では「植栽日」というものが決められており、その日は州民こぞって木を植える行事が定着していました。学校の子どもたちも参加し、「木を植えて育てる」ことは教育上とても効用があることに注目され、学校林の考え方が広がっていったとされています。日本でも、愛郷心や公共心を育むことと、学校財政の強化という目的から、同博士の来日からわずか8年後の明治36年には、2023校が学校林活動を実施して、面積も約5千ヘクタールに達しました。

 「江戸中期の陽明学者・熊沢蕃山(くまざわばんざん)が、『近年、山、沢荒れて、神霊の気乏しきが故に、秀才の現われ難く候』という言葉を残しているように、森林を守り育てることと教育には深い結びつきがあることが、日本でも昔から経験的に知られていました。そうした思想の土壌があったことも、学校林の制度が広がったひとつの要因だと思います」(林野庁森林整備部森林保全課・内田敏博氏)  学校林活動は1940年頃にひとつのピークを迎え、戦争中の一時中断を経て、戦後に再び脚光を浴びます。戦前・戦中の乱伐によって荒廃した山林に植林を進めることが急務とされた時代背景の中で、学校林活動は「木が育つ」「子どもの教育に良い」「学校の財産になる」という “一石三鳥”の役割が期待されたのです。学校自体が山林を所有しているケースは3割ほどで、ほかに国や市町村からの借地や利用許可、分収林などの形が用いられました。

忘れられた学校林に新しい光が

 夢と希望にあふれる学校林活動でしたが、高度経済成長を経て日本国中が豊かさを享受しはじめた70年代後半ごろから、雲行きが怪しくなります。せっかく植えて育てた木が、材木としての商品価値を失いはじめました。海外から安い材木がどんどん輸入されるようになったのが原因です。学校のカリキュラムも、自然と触れ合うよりも、知識つめ込みに偏重するようになり、学校の先生や生徒たちが学校林から遠ざかってしまいました。さらには、学校の統廃合や分収契約の終了などもあり、保有校数や面積は減少の一途をたどることになったのです。そうして、「校舎のすぐ近くに学校林がある」「地元の住民が協力してくれる」など、条件の良い一部の学校を除いて、学校林はその存在すら忘れ去られるようになりました。

 ところが2000年に入り、時代の遺物となりかけていた学校林が再び注目されるようになります。その背景には、「森林・林業基本計画」の策定と「総合学習」の導入がありました。林野庁は「森林は単に木材生産の場ではなく、教育やレクリエーションとして大きな価値がある」と唱え、学校の現場では、自然体験学習などのカリキュラムが積極的に取り入れられるようになりました。映画『となりのトトロ』のように、子どもを雑木林の中で自由に遊ばせたいと思う親が増えてきたことも、大きな一因です。

学校林保有数の推移

 そこで取られている方策は、ひとつが「現存する学校林を再整備すること」。市町村や(社)国土緑化推進機構では整備のための助成金制度を設けており、除伐や枝打ち、遊歩道づくりなどが実施されました。

 もうひとつは、「学校林のような場所を新たに作ること」です。先にあるとおり、学校林を保有しているのは約3千校。全学校数の1割にも満たないため、林野庁では「遊々の森」事業に新たに取り組んでいます。これは、国有林を自然体験学習の場として利用開放するもので、学校の子どもだけでなく一般市民も利用できることが好評で、開始2年目の2003年には全国に58ヶ所で設定されました。

 しかし、これから学校林活動がいっそう注目されるためには、課題が多いことも間違いありません。学校の現場では、授業や行事カリキュラムの中で学校林活動の時間を捻出する余裕がないところも多く、自然体験学習に熱心で旗振り役となる先生がいないと実現が難しいともいわれています。また、父兄や地元の林業家、環境教育NPOなど、学校外の関係者のサポートも欠かせません。

 時代の波を受けながら、その存在意義が浮き沈みしてきた学校林の歴史にはそれなりの重みを感じます。21世紀に入り、新しい光が当てられつつある学校林。大ブームとはまだ言えませんが、確かなニーズと手応えをつかみながら、ひとつひとつ事例を積み重ねている関係者の方々の着実な努力が、近い将来必ず実を結ぶことは間違いありません。

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