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マレーシア

1967年3月、中野與之助前総裁をはじめとする東南アジア歴訪の一環として立ち寄ったマレーシアで、政府首脳に面会しました。その時、当時マレーシア政府顧問でFAOの専門家森友氏を通じ、マラ公団から研修生受け入れの要請を受け、同年9月に研修生の受け入れが始まりました。その後、1977年にオイスカを含む調査団がマレーシアサバ州を訪問し、サバ州農業水産大臣などとの話し合いにより同年6月に「東マレーシア開発協力計画」がスタート。サバ州農業省と青年省、農村開発公社、オイスカが協力し研修センターが開設されました。その後、サバ州での貢献が評判になり、1984年には農業省直轄のKADA農業公社、ケランタン州知事からの要請により、マレーシア半島部での研修事業がスタートしました。

マレーシアは歴史的、文化的に、半島部とサバ州・サラワク州 などの東マレーシアに分かれます。オイスカの活動範囲も広く、 半島部とサバ州の2つに分かれています。半島部からは毎年多くの研修生を日本に受け入れ、研修を行っています。また、サバ州ではKPDをカウンターパートに、研修センターを中心とした青年育成、「子供の森」計画(CFP)、コミュニティーフォレスト造成を通じた地域開発プロジェクトなどを行っています。

オイスカはマレーシアで人材育成を長く行ってきたことから、自ら起業するなどして地域開発のモデルとなる人が多く育っています。また、マレーシアの大臣など、要職からの信頼が厚く、総局会長および副会長の両方が現役の大臣でもあります。サバ州においては近年、「子供の森」計画新規参加校が急増しているほか、コミュニティーフォレスト造成を通じた地域開発プロジェクトも広がりつつあります。

現時点では、サバ州におけるKPDとの共同事業である農業研修プログラム、半島部におけるマラ公団の工業研修生を日本へ受け入れる事業が中心です。今後は、半島部とサバ州のバランスを取った活動を展開する必要があると考えています。

KPD/オイスカ青年研修センター

場所: 東マレーシア・サバ州
活動開始年: 1989年6月
受入機関: KPD(サバ農村開発公社)
活動開始の背景 当時、サバ州はマラヤ連邦と統合、マレーシアとして独立して十数年が経過しただけの、まだ若い国でした。経済的には、南洋材や原油・天然ガスなどの輸出が好調で、農業面ではゴム・カカオ・油椰子などの換金作物も国際市場価格の変動に影響されながらも大資本によるプランテーション農業が行われ、表面的には繁栄を享受していました。一方、現地の若者は第一次産業を嫌い、多くは外国労働者に依存。その結果、貴重な労働力が遊んでいる一方、農村では常に労働力が不足している状況がありました。
将来、木材などの資源が枯渇し、これまでの経済構造の転換が不可避となった場合を考えると、農業の近代化と勤勉な青少年の育成が急務であるという観点から、当時のサバ州農業水産大臣からオイスカに要請が入りました。
水稲・陸稲などの一般的で伝統的な小農業が大半で、豊かな自然と気候条件を生かし、栽培や管理技術と共に額に汗して働く勤勉な青年リーダーを育成しようと研修センターが開設されました。
オイスカは、1970年代からマレーシア・サバ州で地道に農業を通した人材育成を行ってきました。しかし、若者の農業離れは止まらず、農村の活性化にはほど遠い実状に、内心忸怩たる思いを抱いていました。
そこで、99年からはさらに食品加工に力を入れています。その目的は、自分たちの収穫した農産物に付加価値をつけて販売し、収入の増加を図ることで農業を盛んにすることです。
活動概要 本研修センターは、マレーシアのサバ州政府の一機関である農村開発公社(KPD)をカウンターパートとしており、稲作、野菜栽培、食品加工、畜産などの研修を行っています。日本人の技術員、調整員は一名もおらず、日本での研修を修了した研修生OBの主導により、自主性と規律を重視した研修を続けています。
現在では、食品加工の技術の指導を研修センター内のみならず周辺住民へと広げており、サバ州の農業振興につなげることを期待しています。
研修生の評価については、年3回の筆記試験や野外での実地試験などを、厳しい基準に基づき実施。徹底した研修の成果が実り、研修生OBの中には、卒業後に村長として村人の信頼を集めるようになった人材もいます。また、多くの部族社会の調和の上に成り立つそれぞれの地域の文化を大切にし、後世まで保存していくため、すべての研修生に、出身部族を含め3つ以上の文化について学ぶ機会を設けています。
近況・今後の方針 2006年度も、外部からの講師を招いたセミナー、研修センターの外へ出ての実習などを通じて、新しい技術や知識を積極的に導入しようと心がけました。また、リーダーシップ形成のため、研修生は複数のグループに分かれて各グループで定期的にリーダーを経験。人の上に立って指示をし、話を聞くことを研修生に学ばせています。珍しいところでは、人間関係のカウンセリングについての講義なども取り入れています。今後も、地域に有益な人材を輩出すべく、新たな知識、技術を取り入れた効果的な研修を継続していきます。

サバ・キリム村森林保全プロジェクト

場所: マレーシア・サバ州ラナウ
活動開始年: 2005年8月
受入機関: サバ州、キリム村役場、KPD(サバ農村開発公社)
活動開始の背景 オイスカの研修を修了したOBのイグナティウスピーターが 帰国後に養魚などの事業を行い、その努力と人柄から村人の信頼を集め村長に就任しました。その村の裏山は長年草地であり、農業の安定のための水源林の造成を希望していた時期にちょうど電機連合がマレーシア支援を検討していたことから、プロジェクトの実施が決定しました。
活動概要 村のすぐ裏手に広がる植林地に、チーク、センタンなどを植林しました。また、防火帯の造成、下草刈りなどを「ゴトンロヨン」とよばれる住民の相互扶助制度によって行い、村人自身により管理しています。また、周辺の学校に通う子どもたちも植林に参加するなどしており、環境教育の場としても活用されています。
近況・今後の方針 まだ始まったばかりのプロジェクトで、成果が現れるのは先のことです。しかし、初年度に植えた苗木はすでに人の背丈を大きく越えており、順調に育っています。2007年に、周辺の草地から延焼してきた火が植林地の一部を焼く被害に遭いました。その際には多くの村人が駆けつけ、消火作業に当たるなどして全焼を免れました。植林地が村のためのものであり、自分たちで守り育てていかなければならないものであるという考え方が浸透してきているようです。今後も地域の自主性を大切にしながら植林地の管理を行い、地域開発・緑化のモデルケースとなることを目指します。