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インドネシア

1975年、オイスカの精神と規律訓練などを重視した独自の研修方式に感銘を受けた現地の王族ソロ候の子孫、ベニー・ジョノシスウォロ氏がオイスカインターナショナル・インドネシア総局を設立し、翌年の1976年に初めての訪日研修生を派遣するとともに、日本からの技術者を招聘して西ジャワ州ボゴールにデモンストレーション農場を開設しました。その後技術者が中部ジャワ州でも巡回指導に当たり、その評判は州知事にも聞こえるところとなって、1978年にはオイスカが主催してアジア太平洋地域開発青年フォーラムをジョグジャカルタで開催しました。これがきっかけとなり、1985年が国連の定める「国際青年年」となりました。その後研修の拠点は移されたものの、1981年の西ジャワ州チブブールを皮切りに現在まで、農業研修センターでの人材育成活動、また育成した人材による緑化活動、教育支援などが続けられています。

現在、ジャワ島に2ヵ所、ティモール島に1ヵ所の研修センターを有し、農業を通じた人材育成を行っています。基本的には農業青年のリーダー育成を進めながら、農業に最も必要な水の確保のために、山間部への植林活動の展開、小中高の児童生徒を対象とした環境教育や「子供の森」計画参加校約240校での植林などを実施しています。また、ジャワ島およびロンボク島ではマングローブ植林を99年度から実施し、現在では7県8ヵ所の現場に植林しました。99年からの5ヵ年計画の中では、833haの植林(実質662ha活着)、04年度からの5ヵ年計画では650haを目標に活動中です。その他貧困撲滅運動としての、地域への果樹の苗木の配布、老化した倒壊寸前の校舎修復支援や共同水場の整備といった地域に根ざした活動も、現地あるいは訪日研修生OBたちによって支えられています。また、近年相次いでいるスマトラ沖地震、中部ジャワ地震などの自然災害による被害への支援活動もいち早く行い、地域から感謝されています。

各地の研修センターでこれまでに研修生、大学や高校からの農業実習短期研修生など3,000名以上を輩出し、彼らは出身地のみならずインドネシア全土で確固たる地位を築き、地域の総合的な開発、環境保全に寄与しています。また、地域開発支援としてOB会研修センター周辺の学校への校舎修繕、環境整備、環境教育支援などを実施し、国内でも発展の遅れている地域の開発にも貢献しています。

各方面からの研修の依頼が多いため、できるだけ希望に沿った形での受入れが出来るように体制を整備していく予定です。農業研修以外にも女性生活改善研修、木工技術研修など社会に出ても活躍していけるような技術を確立し、要請に応えていきます。また、楽しく儲かる農業を推進し、研修後の自立を後押しします。緑化活動では単なる環境教育から地域社会を支援するような活動へと移行していけるよう幅広く取り組んでいく予定です。また、支援体制としてインドネシア独自の組織を活性化させていくと同時に、企業など社会の要請に応じ、CSR活動への協働を積極的に進め、インドネシアの人々の自立のための支援を続けていきます。

インドネシア・スカブミ研修センター

場所: ジャワ島スカブミ県
活動開始年: 2000年2月
受入機関: オイスカ・インドネシア研修生OB会
活動開始の背景 国家の基盤としての農業を担う農村青年の育成を目指して、ジャカルタ南部チブブールにオイスカがはじめて農業研修センターを開設したのは1981年のことでした。以来諸般の事情により研修センターの所在地の移転を何度か余儀なくされる不運に見舞われたものの、一貫して全国からやってくる青年達への農業研修活動を継続してきました。2000年2月、かねてよりオイスカの人材育成事業を高く評価していたスカブミ県政府より土地の提供を受け、同県チメンテン地区に新たに研修センターを移転、スカブミ研修センターとして活動を開始することになりました。
活動概要 OB会研修センターでは、蔬菜栽培、畜産(鶏・羊)、アグロフォレストリーを柱とした循環型有機農業のほか、農産物加工や縫製、保健・衛生等を学ぶ女性生活改善コース、そして簡便な家具等の製作技術を身に付ける職業木工訓練コースを開設、研修生に指導しているほか、研修生OBの自立支援事業の一環として、電照菊の苗を生産し日本へ輸出する菊栽培プロジェクトを支援しています。また、「子供の森」計画やマングローブ植林プロジェクト、スカブミ県植林プロジェクト等各種植林活動及び教育機材支援事業の調整も、同センターで行っています。
近況・今後の方針 近年、OB会研修センターがこれまで取り組んできた人材育成部門・環境保全部門における地道な活動が広く評価されるようになってきており、両部門における協力の要請がスカブミ県のみならず国内の様々な団体から寄せられるようになってきています。今後は、これまで研修に限定されていた農業部門において、より自然への負荷が少ない有機農業の地域農村社会レベルへの普及に着手する一方、国内で頻発する自然災害により高まりつつある人々の環境保全に対する意識を更に高揚すべく、環境教育を通じた啓発活動を進めていく予定です。

カランガニアル研修センター

場所: 中部ジャワ州カランガニアル県
活動開始年: 1988年12月
受入機関: オイスカ・インドネシア研修生OB会
活動開始の背景 全国土面積のわずか6%に総人口の60%が生活しているジャワ島。そのジャワ島で最も人口密度が高い中部ジャワ州では、昔から集約的な土地利用が行われていましたが、主食である米とわずかな穀類を栽培する半モノカルチャー経営と古くからの農法に頼っていたことによる収穫量の少なさから、農家は長い間経済的に苦しい思いをしてきました。そうした状況を打破すべく、農業普及所職員(当時)として働いていたオイスカ研修生OBのムルヨノ氏が、より生産性・収益性の高い農業を指導するために、カランガニアル県の地域青年を集めて研修を始めたのは1983年のことでした。1988年、それまでの活動が認められて、旧郵政省の国際ボランティア貯金からの支援を得ることができ、現在の地に研修センターを建設、カランガニアル研修センターとして正式に活動を開始しました。
活動概要 カランガニアル研修センターでは、稲作と蔬菜栽培の技術一般についての指導に加えて、市場調査やマーケティング等、広く農業経営についても学べるような研修を行っています。研修生には、正規の長期研修生のほか、地方政府や高等学校、大学よりの委託を受けて実施する短期研修コースへの参加者も含まれます。現在、中部ジャワ州各地で研修生OBを中心に農民グループが結成されていますが、そうしたグループに対する巡回技術指導も本研修センターの大切な活動です。また、「子供の森」計画や日本企業の植林事業を通した環境保全活動にも取り組んでいます。
近況・今後の方針 かつて稲作しか見ることができなかったカランガニアル研修センター周辺では、現在、メロンをはじめとする多種多様な高級野菜が作付けされている光景が見られます。20年の間に地域の農業経営の形態に劇的な変化をもたらした本研修センターに対する評価は、政府・民間に関わらず非常に高く、インドネシア各地の政府機関や高等学校、大学からの研修受け入れ要請が多数寄せられるようになってきました。今後は、こうした短期研修への受け入れを更に広げていくと共に、近年インドネシアでも注目されるようになってきた環境に配慮した持続可能な農法にも取り組んでいく予定です。

チトラ・オイスカ研修センター

場所: ティモール島東ヌサテンガラ州
活動開始年: 1998年6月
受入機関: オイスカ・インドネシア研修生OB会
活動開始の背景 これまで、首都ジャカルタの位置するジャワ島に開発の重点がおかれてきたインドネシアでは、外島との間に大きな経済格差が生じ、社会問題化しています。特に東部の東ヌサテンガラ州ではこの傾向が顕著に認められ、乾燥少雨の厳しい季候と灌漑設備等農業社会基盤の不足、貧弱な人的資源が相まって、農村地帯の貧困が恒常化している状況にあります。1992年に日本での研修を終えてインドネシアに帰国した中部ジャワ州出身の研修生OBバンバン氏は、東ヌサテンガラ州の窮状を救うべく単身同州の州都クパンに乗り込み、翌年よりまず「子供の森」計画をはじめました。その後98年に地元のNGOチトラ財団との協力によりチトラ‐オイスカ研修センターを開設し、同州の農村青年に対する農業技術指導及び人材育成事業に取り組むことになりました。
活動概要 研修センターにおいて周辺地域の青年を対象とした農業短期研修を実施しているほか、センター外においても地方政府の関係各局やローカル及び国際NGO、国際支援機関等と協力してマングローブ植林を含む緑化活動、乾燥地帯の農家及び海岸沿いの農漁民に対する農業指導・環境保全啓蒙活動等に取り組んでいます。
近況・今後の方針 チトラ・オイスカ研修センターは、人的資源に乏しい東ヌサテンガラ州における数少ない信頼できるローカルNGOとして、行政機関から高く評価されています。2006年には国連世界食糧計画(WFP)より委託を受けて、旱魃による被害を受けたティモール・トゥンガ・スラタン県の住民への食糧配布プログラムを実施しました。今後も研修センターにおける地道な農業青年育成事業を継続するとともに、こうした国際支援機関を含む他団体との協力事業を更に推進し、東ヌサテンガラ州の地域開発・環境保全に寄与していく予定です。

マングローブ植林プロジェクト(ジャワ島)

場所: ジャワ島カラワン県、インドラマユ県、プマラン県、ダマック県、プロボリンゴ県、シドアルジョ県
活動開始年: 1995年5月
受入機関: 海洋資源漁業省、各県庁、各郡村役場、ヤヤサンマングローブなど
活動開始の背景 インドネシアは1万7千ほどの島々と長大な海岸線を有しており、その海岸線はサンゴ礁とマングローブに囲まれています。マングローブ林はエビやカニ等の生物の宝庫であり、また高波などによる浸食から国土を守っています。ところが1982年には420万haあったものが、エビ養殖池の乱開発により今では190万haまで落ち込みました。この減少が住民に大きな悪影響を与えています。特に、ジャワ島では5万haを残すのみとなっており、北岸地域では波による浸食、海岸沈降、飲料水の塩化など、その影響が地域の生活にも顕著に現れています。高波や洪水などの被害も頻発しています。マングローブを取り巻く生態系の重要性が忘れられた結果、現在の惨状が生じていることを理解し、かつてのマングローブ林を取り戻し、地域を活性化することを目的としてこのプロジェクトが始まりました。
活動概要 東京海上日動火災保険株式会社の支援を受けて、1999年から2004年まで第一期として西ジャワ州インドラマユ、中部ジャワ州プマラン、東ジャワ州バニュワンギの各県で800haの植林を行い、現在までに1,000haにまで拡張されています。その後の第二期は750haを目標とし、東ジャワ州カラワン、インドラマユ、中部ジャワ州プマラン、ダマック、東ジャワ州プロボリンゴ、シドアルジョの各県で実施されています。植林活動だけではなく、地域の子ども達を対象にしたマングローブ生態系についての環境教育も行っています。各植林地では住民による植林グループを組織し、プロジェクト終了後の植林地の管理を主体的に担えるよう、調整員の指導の下で活動しています。
近況・今後の方針 第二期の初年度に植えられたマングローブの木は順調に成長し、樹高はまだ小さいもののカニ等の漁獲高も上がりつつあり、第二期から参加した各地域住民からは生活が改善されつつあるといううれしい知らせも届いています。彼らをマングローブ植林活動へと動かしたのはインド洋大津波での大惨事があったからです。地方政府の住民植林グループへの認知もあり、植林グループの果たす役割は日に日に大きくなっています。プロジェクト推進上の様々な問題も彼ら自身によって解決され、地方政府やNGOからの継続的な支援が彼らの活動をさらに強固なものにしています。適切な管理がなされれば、生態系のみならず経済的にもプラスのインパクトを地域に与えることが出来ます。また今後予想される違法伐採や妨害行為に対しても毅然とした態度で望めるでしょうし、消滅したすべてのマングローブ林を回復するのは難しいとしても、それに向けての固い意志を形作ることには日々近づいていると感じられます。

中部ジャワ・ダマック県地域開発基盤整備プロジェクト

場所: 中部ジャワ州ダマック県サユン郡ベドノ村
活動開始年: 2006年9月
受入機関: オイスカ・インドネシア研修生OB会
活動開始の背景 インドネシアで最も海岸浸食が深刻な地帯の一つ、中部ジャワ州ダマック県サユン郡ベドノ村。村全体が水没の危機にさらされている同村を守ろうと、環境教育、植林活動、小学校復興を組み合わせたプロジェクトを、コニカミノルタ労働組合の支援のもとで開始しました。
ほかの地域と比べてベドノ村の海岸の浸食が早い大きな要因は、インドネシア政府が進めたエビ養殖振興政策にあります。沿岸地域のマングローブ林が伐採されエビの養殖池が造成されましたが、生産性が低下し利用されなくなると、それまでは随時補強されていた養殖池と海とを区切る作業道も放置されて海水に浸食され、内陸部への浸水を容易にしてしまいました。加えて、海抜ゼロメートル地帯という地理的条件も状況を悪化させたと考えられます。
水没の被害は既に学校や周辺地区まで及び、村の総世帯1200世帯(約5200名)のうち、266世帯(約1300名)が他村への移住を余儀なくされています。また村人は、マングローブ林をなぜ取り戻さなければならないのかという認識も薄く、村人への啓発活動、次代を担う子どもたちの教育の場としての学校の復興は、必要不可欠であるといえます。
活動概要 2006年9月〜2009年8月までの3年間に、地域住民や学校児童を対象に環境教育セミナーを実施し、住民の生活収入を確保するための木工技術の研修を含め、地域住民がマングローブ植林に直接参加し、準備や植林後の管理まで行うシステムの構築を目指しています。また、水没の危機にある学校校舎の基礎土台の底上げを含めた建設事業、村道の護岸工事や教育資材の支援を実施しています。
近況・今後の方針 水没の危機に瀕する村を救うための本プロジェクトでは、住民説明会を通じて理解や協力を促したことで、多くの住民の自主的な参加を得られました。また、道路の盛土や校庭の整地などの作業を行い、校庭が水没していた学校が元通りになりました。今後は地域住民への環境セミナーの開催、植林の実施、所得向上のための職業訓練などを行っていく予定です。

スカブミ県・植林プロジェクト

場所: ジャワ島スカブミ県
活動開始年: 2005年
受入機関: オイスカ帰国研修生OB会など
活動開始の背景 貧困がゆえに既存の森林が守られてこなかったプロジェクトサイトにおいて、植林活動を通じ、農民に森林と生活の関係、共生を教育指導し、水源地という意識を更に高揚させることを目的に、日本企業からの支援を得て実施されています。
活動概要 自然環境の破壊が進んでいる地域を植林サイトとして選定。植林活動のみならず県・郡内及び周辺の小中高生を対象としたネイチャーゲームや環境授業、セミナーなどを開催し、県内ひいては全国のモデルとなりうる、結果として森林保全、水の確保、農業の安定、住民の生活向上を目指して進められています。
近況・今後の方針 住民との対話を通じて意識を高揚させることを重視しながら、順調に活動を進めています。最近では、本プロジェクト地において、「子供の森」計画参加校も招聘し大規模な環境教育キャンプを実施するなど、他プロジェクトとの連携も取りつつ、より効果的な活動を実施していることが特色です。本事業では、終了後の 10 年、 20年先、オイスカが引き揚げた後にも、事業に参加した子どもたちがこの森を守っていくことを視野に入れています。地元の人々自身が森を守り育てていけるような基盤づくりも含め、取り組みを続けていきます。