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フィリピン

フィリピンにおけるオイスカ活動の始まりは、1963年に農業の研修生を受け入れたことが始まりで、その後1967年には5名のオイスカ農業開発技術員がフィリピンへ派遣され、本格的な活動が開始されました。当初はオイスカ・フィリピン総局が受け入れ機関となり、民間ベースで稲作のデモンストレーション農場を設立しました。その後は、フィリピン政府が進める食糧増産運動の一環として、農村青年のための研修プログラムを実施してきました。

フィリピンでは、現在7ヵ所の農業研修センターを運営管理し、2ヵ所の山岳地植林事業、3ヵ所のマングローブ植林プロジェクトを実施しています。また「子供の森」計画は、全国で981校の小学校が参加して展開されています。

フィリピンではこれまでに1,022名が日本で研修を受け、帰国後は各分野で活躍してます。そして山岳植林では、ヌエバビスカヤで500ha、イロイロでは1,000ha以上の植林と、マングローブ植林でもパラワン、ミンダナオ、ネグロス島において実施されています。また環境教育の一環として、学校単位で植林する「子供の森」計画は、全国で981校の小学校が参加して展開しています。

今後のフィリピンにおける活動方針としては、環境教育に主眼を置く「子供の森」計画の質的な向上を図る一方、従来からの農業を中心とした人材育成も進めます。環境保全の分野においても、CDM手法などを取り入れた山岳地植林事業、マングローブ植林などの更なる拡大を図ります。また、ふるさとづくりの一環としての地場産業(養蚕事業など)の育成も行います。

アブラ農林業研修センター

場所: ルソン島北部、アブラ州、ドローレス町
活動開始年: 1984年10月
受入機関: アブラ州政府
活動開始の背景 ルソン島北端に位置するアブラ州。産業・経済的にも決して有利と言えない環境の下では、そこに住む若い人材の創意による新しい産業おこしが求められていました。このような状況の中でアブラ州政府は、オイスカに対し農業を通じた農村青年の育成を要請してきました。その要請に答える形でオイスカは、水田・蔬菜・養豚・養鶏・養魚・植林などを含めたトータルな研修を進めるため、アブラ農林業研修センターを設立しました。
活動概要 アブラ州の農村青年を対象に、1年間の農業研修(稲作・蔬菜栽培、養豚、養鶏、養魚)を実施しています。その他に、食品加工の実習、デイケアセンターの建設などの地位開発事業も手がけています。
近況・今後の方針 通常の研修業務に加え近年では、地域住民への農業と林業における技術支援を実施。センター内にある精米所で、格安で地域農民の収穫米を精米しています。このように地域住民との関わりは深くなっています。今後は、精米所や食品加工施設(ドライヤー)などを活用しながら、地域社会との繋がりを深めると同時に、研修センター自体の自立運営体制の確立を進めていく計画です。

ヌエバエシア研修センター

場所: ルソン島、ヌエバエシア州、リャネーラ町
活動開始年: 1980年3月
受入機関: ヌエバエシア州政府
活動開始の背景 ルソン島の真中にあるヌエバエシア州。果てしなき農地の開墾・拡大が山間部にまでおよび、ついには木が一本も生えないハゲ山になってしまいました。「山には植林を。農業は平野部でやるしかない。しかし、それで本当に地域住民の食料ニーズを満たせるのだろうか…」州政府は今、農業のレベルアップに本気になって取り組んでいます。オイスカは州政府と連携して、この研修センターに州の推薦を受けた若者を受け入れ、稲作・蔬菜・養豚・養鶏・養魚の3ヶ月ローテーション実習を始めました。また、地元の農業大学の学生の実習受け入れも行っています。
活動概要 現地農村青年に、稲作・蔬菜栽培、養豚、養鶏、養魚の研修を実施しています。そして周りの小学校で、「子供の森」計画を推進しています。
近況・今後の方針 研修業務、「子供の森」計画のほか、近年ではアヒルの養殖を始め、地域の農家に普及しています。今後も引き続き研修業務を行ない、植林事業にも力を入れて行きます。

バゴ研修センター

場所: ネグロス島、西ネグロス州、バゴ市
活動開始年: 1981年4月
受入機関: バゴ市役所
活動開始の背景 本研修センターは、ネグロス島の経済を支えてきた砂糖きび産業の低迷を受け、単一プランテーションに頼らない農民自ら取り組む農業者育成を目指して設立されました。
活動概要 研修センターで学ぶ青年は、地元農業大学校の卒業生から農村の農業後継者まで様々。センターでは稲作を中心に養豚、養鶏、そして蔬菜栽培の研修を行っています。地域にある資源を活かして生活を豊かにする方法を模索するなど、稲作の改良普及プログラムに着手したりして成果を上げています。一方養豚、養鶏では日本で学んで帰国した研修生 OB 達をスタッフとして採用し、きめ細かい指導を行っています。その評判はネグロス島全域に伝わり、研修を希望する青年の数は毎年増える一方です。
近況・今後の方針 近年では、養豚事業の充実を図りつつ自家製のハムなども生産しています。また、食生活改善のセミナーなども地域の農村婦人を対象に実施しています。今後はこのような人材育成活動のみならず、地域の特色を生かした地場産業に取り組んで行きます。そして、日比の青年が交流できるような施設を作ることを目指しています。

カンラオン研修センター

場所: ネグロス島、東ネグロス州、カンラオン市
活動開始年: 1979年4月
受入機関: オイスカ・カンラオン支局・研修生OB会
活動開始の背景 海抜2463mの活火山・力ンラオン山のふもと。稲作に適した気候と肥沃な土壌、そして豊富な湧き水。「ここはコメの生産地になる!」その直勘と信念から、カンラオンでの水田モデルファーム事業と人材育成の挑戦がスタートしました。
活動概要 主に水田稲作の研修を行っています。また、ミミズの養殖による有機堆肥づくりも実践し、稲作に取り入れられています。
近況・今後の方針 センターがある地域は、なだらかな傾斜地。農村の原風景でもあるライステラス(棚田)づくりは相当な労力を要するものでしたが、今では168haをこえる見事な田んぼが広がり、訪れた者すべてを魅了します。1ha当り216カバン(1カバン=約50kg)というフィリピンの米の最高収量も記録。1997年には、農場内に灌漑を目的とした約1万平方メートルの溜め池を作り、乾季でも稲作が可能になりました。その溜め池では養魚を、その隣ではミミズを利用した稲わら堆肥づくりを行っています。ネグロス島の中に光り輝く田んぼを見つけたら、それは別名「カンラオン方式」の稲作研修を受けた青年が、額に汗して作りあげたものかもしれません。
今後はこれらの技術を、研修業務を通じてより多くの農村青年に伝えていく計画です。

ミンダナオ・エコテック研修センター

場所: ミンダナオ島、北ザンボアンガ州、デポログ市
活動開始年: 1997年4月
受入機関: デポログ市役所
活動開始の背景 1971年に南サンボアンガ州で、南ミンダナオ大学農学部学生を対象に農業実習指導を開始したときから、オイスカの活動が始まりました。その後、紆余曲折を経て、1976年から北ザンボアンガ州デポログ市のアンドレス・ボネファシオ大学農学部で指導してきました。そして1980年代に入り、デポログ市パマンサラン村において、農林業研修センターを設立し、本格的に山岳地帯の植林事業に取り組みました。その後、この研修センターはデポログ市へ移管されハイスクールとなったため、新たにミンダナオ・エコテック研修センターを設立しました。
活動概要 地域の農民への技術指導、大学での有機農業指導、植林(マングローブ植林を含む)など、幅広い活動を行っています。
近況・今後の方針 東京海上日動火災保険の植林したマングローブが立派に成長しており、その先にサンゴ礁が復活してきています。今後は、環境保全に関連する活動を積極的に推進する予定です。

ダバオ研修センター

場所: ミンダナオ島、コンポステラ・バレー州、モンカヨ町
活動開始年: 1984年5月
受入機関: コンポステラ・バレー州政府、研修生OB会
活動開始の背景 フィリピン第二の都市、ダバオ。ここは第二次世界大戦前、世界的な評価を得たマ二ラ麻の産地であり、その技術は移住した日本人がもたらしたものでした。それから約40年の歳月を経た1984年、北ダバオ州政府からの農村青年を育成してほしいとの強い要請により、この研修センターが設立されました。この地域の農業レベルはフィリピン国内でも高く、オイスカは州政府と提携して、「最新の農業スキル」そして「現場で力を発揮するスピリット」を兼ね備えた人材育成プログラムを実施しています。
活動概要 地域の農村青年の研修(稲作・蔬菜、養鶏など)を実施しています。「子供の森」計画も着実に実績を挙げつつあります。
近況・今後の方針 近年では研修業務に加え、「子供の森」計画の拡充を進めています。そして、研修生OBが自主的に養鶏プロジェクトを計画中で、今後の成功が期待されます。

パラワン研修センター

場所: パラワン島、パラワン州、アボラン町
活動開始年: 1983年6月
受入機関: パラワン州政府、研修生OB会
活動開始の背景 フィリピン最後の秘境といわれるパラワン島。この島の自然と人々の暮らしにも危機がしのび寄っています。「このまま豊かな自然に頼りきった暮らしは、そう長くは続かない…」。その思いから本研修センターでは、今ある天然資源をより活かして、水稲・疏菜・養鶏・養豚などの複合農業を開始しました。また、センター近郊の海岸部でマングローブ植林にも取り組んでいます。
活動概要 農村青年を対象とした研修プログラムのほか、マングローブ植林を積極的に実施しています。また、養豚舎も国際ロータリークラブの支援を受けて完成し、子豚を低価格で地域の住民に販売するなど、地域住民との関係を大切にしながら活動を展開しています。
近況・今後の方針 研修センター施設も修理して、新たな研修生を受け入れる体制を整えました。今後は養鶏事業を充実させたいと希望しています。

ヌエバビスカヤ植林プロジェクト

場所: ルソン島ヌエバビスカヤ州
活動開始年: 1993年8月
受入機関: フィリピン政府・環境天然資源省
活動開始の背景 第二次世界大戦前は鬱蒼と茂る熱帯雨林地帯だったヌエバビスカヤ州ですが、木材伐採、山火事、周囲の牛の放牧、病害虫などによる森林破壊が深刻化しました。そのため、この地域に住むオイスカの帰国研修生たちが立ち上がり、自分たちの森を再生する試みに取り組んできました。その取り組みに対し、日本のオイスカ会員の有志(北九州ふれあいの翼グループ)が支援を決定し、1993年から本格的な植林事業が開始されました。しかしその前には、幾多の障害が立ちはだかります。熱帯林地域でも有数のハゲ山地帯となっている中部ルソン地域で、山間地の本格的な緑化には多くの障害がありました。
活動概要 ルソン島中部のヌエバビスカヤ州キラン村において、500haの植林活動を行っています。
近況・今後の方針 防護柵や防火帯の設置、地元住民の理解と参加を得て、15年目を迎えたプロジェクト地は、以前とは見まがうほどの森が出来つつあります。この森を生かした村づくりの展開が大いに期待されます。今後はこの植林地を更に拡大し、この場所を日本の視察団や学生などに対する環境教育の場として、活用していきたいと考えます。

マングローブ植林プロジェクト

場所: ルソン島北カマリネス州
活動開始年: 2004年4月
受入機関: カパロンガ住民委員会
活動開始の背景 環境天然資源省、国家森林局長からの要請を受け、国際協力銀行(JBIC)が北カマリネス州で実施したマングローブ植林プロジェクトを視察しました。その際に、そのプロジェクトを成功させ、地域の漁民がプロジェクトを拡大して漁獲量を増やしたいとの強い希望があることを確認しました。このような事情を背景に、現地の協同組合がオイスカに支援を要請してきました。それがきっかけとなり、本プロジェクトが開始されました。
活動概要 ルソン島南部タガログの北カマリネス州、カパロンガ町において、3年間の計画でマングローブの植林を実施しています。
近況・今後の方針 3年間に100haのマングローブを植林するというプロジェクトですが、初年度に100haを既に植林し、次年度からは補植と植林地の維持管理を中心に活動しています。この地域はフィリピンの中でも台風の一番多い地域ですので、台風被害を想定して、補植などの対策強化をしています。

アホイ植林プロジェクト

場所: パナイ島イロイロ州
活動開始年: 1993年4月
受入機関: アホイ水源組合、アホイ町役場
活動開始の背景 プロジェクト地となっているイロイロ州・アホイ町の地名「アホイ」とは、地元の言葉で木を表わす言葉「カホイ」に由来を持っているほど、かつては豊かな天然林で覆われていた所でした。しかし一時はその面影をほとんど見ることが出来ないほどに森が姿を消し、乾季には町の住民の飲み水にも困るようになりました。そこでオイスカと、地元アホイ町水利局とアホイ町役場との共同プロジェクトとして、水源地への植林が開始されました。
活動概要 1993年より、イロイロ州、アホイ町の水源涵養林地区を中心に、木々のない傾斜地において植林活動を行っています。
近況・今後の方針 2007年3月までに水源涵養地で植林した面積は1,000haを超えました。さらに、地元の人々の間には、自分たちでも植林しようという意識が根づき始め、自分の土地にマホガニーなどの苗木を植えています。また、2007年5月からは株式会社メディアグローバルリンクスの支援を得て、京都議定書の地球温暖化対策の取り組みであるCDMシステムのもと、5年計画で約440haの植林をスタートしました。この制度下で、2007年度は約110haの植林を実施しました。

ネグロス養蚕普及プロジェクト

場所: ネグロス島西ネグロス州
活動開始年: 1989年4月
受入機関: バゴ市・フィリピン研修生OB会
活動開始の背景 1980年代の砂糖の国際価格の暴落により砂糖産業に頼ってきたネグロス島は、一時「飢餓の島」と呼ばれました。 1989 年に西ネグロス州政府より協力要請を受けたオイスカは、特に生活苦を強いられた山間地の農民を対象に養蚕の技術指導と普及に着手。砂糖きびプランテーションでの賃金労働者から農民自らが自力による農業者の育成を目指し開始しました。
活動概要 幸いにもバゴ研修センターを拠点に築いてきた長年に亘るオイスカ活動の実績と信頼を背景に、日本の一流の養蚕農家の元で学んだ研修生の OB たちが普及員や製糸技術者として活躍しています。
近況・今後の方針 NGO支援無償資金協力を受け、2006年9月より蚕種製造を開始。これにより、これまで日本からの輸入に頼っていた蚕種を現地で確保できるようになりました。その結果、小規模ながら蚕種製造から織物づくりまでの一連の工程が築かれるまでになりました。
現在、養蚕に対する関心と期待は益々大きくなり、特に州内の山間地を中心に養蚕への参加を希望する零細農家が増加傾向にあります。そうした要請に応え、目標とするネグロス島の零細農家の生活改善拡大を図るためにも、さらなる施設整備の拡充と良質な繭の生産を増やすとともに蚕品種の改善や養蚕組合による普及体制を強化することが不可欠とされます。
さらに生糸による撚糸加工技術の導入を図るなどして絹織物製品による市場の拡大が求められており、今後、そうした取り組みを通じて、将来早い段階でのシルク産業によるネグロス島内での地場産業化を目指します。

教育支援プロジェクト

場所: ネグロス島、バゴ研修センター、ヌエバビスカヤ州、カパロンガ町、パラワン州、ヌエバエシア州、サガイ市、アブラ州
活動開始年: 1988年4月
受入機関: 各地域別の自治体
活動開始の背景 デイケアセンターは、オイスカ茨城県支局がバゴ研修センターを視察した際、地域農民の子どもたちが勉強する場所がなく、女性が外で働けないという状況をみて、支援が開始されました。その他の地域でも、小学校校舎建築支援がヌエバビスカヤ、カパロンガなどでも実施されています。
活動概要 デイケアセンターの建設及び小学校の建設を行う活動を通じて、地域全体のコミュニティを活性化しています。
近況・今後の方針 近年では、西ネグロス州にデイケアセンター1棟、カパロンガに小学校1校が建設されました。今後も、フィリピンの恵まれない地域の学校や保育所の建設を、資金が許す限り継続していく予定です。