11月14日、15日の活動あれこれ その1その2の続きです

本部 海外事業部の林です。
2日にわたるボランティア活動の報告をしてきましたが、最後はボランティアというよりは私の勝手な活動の報告です。

その1でご報告の通り、地図が読めない私は正しくプロットにたどり着けないため、戦力外を言い渡され、あっちのチーム、こっちのチームを渡り歩き写真を撮ったり、測竿係のサポートをしたり、皆さんとおしゃべりしたり……。
そんな中ちょっと気になる木を発見。写真で分かりますか? 根元から倒れてしまっているのが。

放っておけばいいのかもしれませんが、助けてあげたいと思い、いつもは厄介者のクズの力を借りることに。クズをロープがわりにして、木を引っ張り起こし、3~4mほど離れた太い木にそのクズを結び、倒れていた木が直立しました!
倒れていた方向には何か補助的に支えになるものをと、リピーターさんたちが、朽ちて倒れた防風柵などから使えそうな木材を持ってきて補強してくれました。

補強完成!

ただ、気になるのはなぜ倒れたのかということ。この場所で、根返ってしまうほどに強い風を受けるとは思えないのです。

ここのエリアは、本数調整伐(間伐)の試験地で、間伐する割合を変えて、生長に変化があるのかを調査しているエリアです。このプロットでは下枝の刈れ上がりが進んでおり、松葉の堆積が進んでいました。
松葉の堆積により腐葉層が厚くなり、水はけの悪化も招き、そのことが根を弱らせるもしくは腐らせるといったことが起きていたのではないかというのが勝手な推測です。
土を掘って根の状態を確認するなど、原因究明を怠ってしまいました。地図が読めないだけではない戦力外を痛感。
でも作業は楽しかったし、「クズが役に立ってるの初めて見た!」といった皆さんからの感想も楽しかったのでよしとします。

そしてもう一つ。あまりにもクズが多く、ぎゅうぎゅうに巻かれてしまっているマツが多かったので、いつものクズ刈り作業とまではいかずとも、少しでも刈りたいと思い、午後からは鎌を持って現場に行きました。


そして発見したのが巨大化したクズ。9月の活動日に駆除された7年もの??とも思われるクズほどではないですが、それなりに太く、何とか鎌でやっつけました!

小指の太さほどのクズに目が慣れてしまっていると、クズとは思わずに見逃す太さ。
きっと探したらまだまだこのレベルのクズが育っているはず……。


最後におまけ。
日曜の朝、事務所の片付けをしていた時のこと。今回一緒に活動してくれた、同じ部署でタイを担当しているスタッフN君が洗車をしてくれました。
車を洗い終えた彼がホースリールのホースのたるみが気になっている様子。私も気になっていたもののいつも「まぁ、いいか」と過ごしてきたのですが、彼は全部ホースを伸ばして巻き直していました。

カメラを探しているうちに巻き終わってしまい、作業中の写真は撮影できず、きれいにホースが巻かれた状態と、ここまでホースを伸ばしていました!の跡だけ撮影。
人の性格っていろいろ。N君、きれいにしてくれてありがとうございました!

11月14日、15日の活動あれこれ その1  の続きです

本部 海外事業部の林です。
11月15日は今年最後のボランティアの日。組織参加の皆さんと個人参加の皆さんとあわせて
59名の参加となりました。

その1でお伝えした通り、主な活動はモニタリング。1チーム5~6名で作業をします。メンバーの役割は下記の通り。

①樹高係
②胸高直径係
③野帳係
④①のサポート係

①の樹高係は、測竿と呼ばれる樹高を図る道具を使います。この道具は竿を伸ばしていくと、手元に先端の高さが表示されるものなのですが、5mにも7mにも成長しているマツのテッペンは、下からは見えません。そこで少し離れた場所にいる④サポート係が、「あと30センチぐらい上」「行き過ぎ!きも~ち下げて!」などと指示を出して、竿の上げ下げを調整していきます。
この係の大変さは、1mおきに竿のストッパーがついているので、竿が下がってこないよう、キュッと止めながらあげていく必要があり、それなりに握力も必要ですし、途中で枝にぶつかって竿が下がってくることも。また、場所によって見え方がかなり違うので、④が複数いると意見が食い違うこともあり、迷ってしまうのです。
②の胸高直径係は、地上から約1.3mの高さの幹の直径を測定します。巻き尺は、通常の目盛りがついている面と直径が図れる面とがある特別なものを使用。
③野帳係は、記録係のこと。①②の係が読み上げた数字を記入していきますが、ここで大事なのは、昨年のデータと比較して、何か不審な点があれば再度測定を促す必要があります。例えば対象木を間違えていたり、胸高直径を測定する位置に印がついていても図りにくさから少し位置を変えて測定することで誤差が出てしまったり……。場合によっては昨年の測定者のミスということもありますが。

②胸高直径係。名取北高野球部から参加。野球部はこうしてボランティアに参加していることも評価され、春の選抜高校野球大会の21世紀枠の候補校に推薦されました! ガンバレ!!


なんだか簡単そうに感じますが、それなりに難しさもあり、こちらのチームはお互いに声を掛けあって交代しながら作業をし、素晴らしいチームワークが育まれていました!

しかし、その後深刻な?仲間割れが勃発。その理由はこの季節に毎回話題になる「バカ」にありました。今回調査したプロット41にはほとんど「バカ」(本名はアレチヌスビトハギと言います。引っ付き虫とも言われる、服につく植物です)が生えていなかったのですが、こちらのプロットの調査を終えて浅野さんからの指示で出向いた先、プロット●(来年ここに行くのを拒否するチームが出てくるといけないので番号は伏せておきます(笑))は、入り口からバカが繁茂していました……。バカ対策をしてきた私もできるだけ刈り取りに協力しましたが、もう皆さんあきらめてバカだらけになって作業を進めてくださいました。チームワークの良さに、バカだらけになった仲間意識が高まり、みんなで記念撮影をしている時に気づいてしまいました。

「あ! Sさんがいない!!」

もともと活動していた場所に戻ると、Sさんの姿が……。実は、バカなしだったプロット41ですが、最後の最後にSさんはバカ地帯に突入してしまい、次の調査地には移動せず、ここで服に着いたバカを取っていたのだそう。バカだらけのメンバーは、バカが一つも残っていないSさんに、そしてここに行くよう指示を出した浅野さんに好きなだけクレームをぶつけたのでした。 はい、もう皆さん、Sさんがおわかりですね。上の写真にいて下の写真にいないのがSさんです。

この季節の「バカ」はとんでもない厄介者ですが、必ず楽しい話題を提供してボランティアを盛り上げてくれる、なくてはならない存在でもあるのかもしれないと思ってしまいました。

11月14日、15日の活動あれこれ その3 へ続く

本部・海外事業部の林です。
今年最後のボランティアに行ってきました。例年、最後の活動はモニタリングとなります。
下記マップに表示されている「調査プロット」には調査対象のマツが50本あり、樹高と胸高直径(地上から約1.3mの高さの幹の直径)を計測します(作業の様子はその2にて報告)。1チーム5~6名で、この調査プロット位置図を見ながら調査地に移動して作業をするのですが、地図の読めない私は吉田から役立たずのレッテルを貼られ、スタッフ要員の頭数に入れてもらえないため、自由に動き回らせてもらいました。

14日は、UAゼンセンの24名が朝から活動していたのですが、私はボランティア初参加の九電ユニオンの対応でお昼ごろに現地入り。これまで長くタイでの植林活動にご支援いただき、ボランティア派遣もされていますが、より多くの組合員にオイスカ活動の現場体験の機会を、と考えて「海岸林再生プロジェクト」のボランティア参加も検討したいと、委員長、副委員長、書記長が揃って宮崎から参加してくださいました。14日は、次年度以降の組合としてのボランティア派遣を想定して、現場以外にも宿泊施設の候補となる場所などをご案内。

印象的だったのは電力会社ならではの視点のお話。一つは名取市震災復興伝承館を訪問した際のこと。
展示の中にある発災から時系列で復旧の状況が説明された資料を見て、S委員長が震災から4日で市内全域復旧していることのすばらしさと共に、なぜ水道やガスは時間がかかるのかを教えてくださいました。電気は地上施設が多いため、例えば電線もどこが切れているのか目視で確認ができるのに対し、地中にある水道やガスの管は破損箇所の確認にも工事にも時間がかかってしまうのだということでした。言われてみればごく当たり前のことなのに、考えたこともありませんでした。電線の地中化が進むことは景観がよくなるし、災害の際の被害も受けにくいとメリットばかり考えていましたが、いざ不具合が起きた時の復旧の難しさにまで思いが至っていませんでした。

また、電力会社のプッシュ型の支援についてもお話をうかがいました。大手電力会社は相互の協力協定のもと、他の地域で災害が起きた時は、要請がなくても必要なものを準備して駆けつけ、復旧が必要な場所だけ指示をもらえば作業ができる体制になっているのだそう。私たちの生活を支えるインフラ事業に関わってくださっている企業の存在の大きさをあらためて感じることができました!

夕方ほんの少しだけUAゼンセンの活動に合流(こちらの報告はまた吉田または浅野からさせていただきます。2人とも活動の翌日、それぞれ愛知と北海道へ飛行機で飛んでいきました!)。実は今回、UAゼンセンの参加メンバーの中に、5年前、オイスカ本部でインターンとして活動してくれていた女性がいました! 事前にメールでご連絡をいただいており、再会を楽しみにしておりました。いろんなご縁が、いろんな形でつながっていることをとても嬉しく感じます!

この日皆さんから寄せられた募金は16,786円でした。翌15日に参加されたUAゼンセン参加のウェルシアのお仲間お二人が、大阪マラソンのチャリティランナーとしてプロジェクトへの募金を支援を呼び掛けていますので、15日の募金とあわせてお二人のチャレンジへの寄附とさせていただきました。
おふたりへの応援もぜひよろしくお願いします。

11月14日、15日の活動あれこれ その2へ続く 

 吉田です。そもそも、この沿岸環境では、人の手を加えない限り広葉樹が自然に育つことは難しいと考えました。そして、名取に設置されることになった生物多様性配慮ゾーンと、海岸林最内陸部の広葉樹母樹となることを目的に、難しいことは承知の上で広葉樹植栽を決めました。

 2013年から宮城県産と皇居産広葉樹を育苗開始、2014年春に植栽開始(1年後生存率17%)、2014年秋・2015年秋・2016年秋と「3度の補植」「総植栽本数1,299本」の末、やっと成立させた広葉樹10種633本(宮城県産コナラ・ケヤキ・サクラ3種で全体の9割)。最終植栽から9年が経ち、インターンの柚原さんと生存木すべて計測しました。 「マツ材線虫病」が蔓延すると、「クロマツvs広葉樹」論争も再燃しかねません。その際の理論武装にもなると思います。

 植栽から9年後の広葉樹生存率は36%でした。驚きはありません。ただし、2014年からの総植栽本数1,299本に対するいまの生育率も17%です・・・

    【国有林広葉樹:砂質壌土/砂土】			 【市有林広葉樹:壌土】			
総植栽本数:10種・432本 総植栽本数:10種・201本
植栽生存:8種・105本 植栽生存:4種・125本
平均樹高:225㎝     平均樹高:333㎝
平均胸高直径:2㎝ 平均胸高直径:2.9㎝
9年後生存率:24% 9年後生存率:62%
生存率 平均樹高 胸高直径 生存率 平均樹高 胸高直径
宮城産コナラ(86/145) 59% 259㎝ 2.3㎝ 宮城産コナラ(64/70) 91% 305㎝ 2.9㎝
宮城産ケヤキ(5/117) 4% 243㎝ 1.9㎝ 宮城産ケヤキ(10/38) 26% 230㎝ 1.3㎝
宮城産サクラ(11/107) 10% 229㎝ 2㎝ 宮城産サクラ(49/91) 54% 366㎝ 3.3㎝
宮城産クリ(1/1) 100% 123㎝ 1.2㎝ 宮城産クリ(2/2) 100% 174㎝ 1.3㎝
皇居産エノキ(1/45) 2% 165㎝ 1.7㎝  実生 6種・20本:はぎ・はんのき・桐・
皇居産アカガシ(0/11) 0% 0cm 0cm        ねむのき・たらのき・みずなら
皇居産スダジイ(0/5) 0% 0cm 0cm   *侵略的外来種ニセアカシアの侵入あり・  
皇居産タブノキ(1/1) 100% 176㎝ 1.4㎝
実生 3種・12本:はんのき・はぎ・やなぎ

【海岸林中央部最内陸側 国有林 約500m×2列 砂質壌土・砂土】 

 500mの北半分(1工区)は砂質壌土で乾燥気味。南半分(2工区)はこれぞ山砂。乾燥そのもの。北と南で生育状況が大きく異なるものの、土壌の3要素はともに皆無。海からの距離は約400m。海側にクロマツがあれば、広葉樹がぎりぎり許される距離。葛が毎年押し寄せる場所。ちなみに排水口なし。林野庁から託された皇居産4種(拝領は400粒。うち発芽138本(浮種多数)、植栽に至ったのは62本)。

写真左手前は低木の実生ハギ、写真中央手前に3m程度の植栽コナラ・4m以上の実生ハンノキ。                  ここにも1.8m間隔で2列植えたのですが。

【仙台空港東 海岸林南部 市有林 約250m×2列  壌土】

 地元業者が森林法違反で違法土砂採取した曰くつきの土。粘土質で多湿。排水溝はボランティアで作ったものの、排水口をつくるのは盛土が固すぎて不可能でした。海からの距離は400m以上。海側にクロマツがあれば、広葉樹がぎりぎり許される距離。葛が毎年押し寄せる場所。

 全体の印象としては、思っていた以上に良い結果ながら、直径が細く、枝葉も少なく、樹高も低い!内陸側の広葉樹母樹林の形成には至っていない。樹種別に言えば、コナラの強さが際立った。サクラ類はもう少し善戦すると思っていた。ケヤキの枯死率は予想以上。クリは3本しか植林できなかったが、しぶとく生きている(ただし、9年経っても樹高1m)。エノキには期待したが残念。実生苗の侵入・生育も予想よりずっと低い。

 枯死の要因は、これまでのブログ(カテゴリー「広葉樹」)でも縷々書いていますが、風環境と土壌(国有林側は乾燥しすぎ、市有林側は多湿気味)に尽きます。①クロマツが東からの潮風の壁となる前に枯損したこと、②4月頃の「蔵王おろし」の寒風・乾風に耐えられなかったこと、③1本あたり4リットルの良質土・液肥・給水ポリマーを使っても植栽直後の、乾燥と貧栄養土壌に耐えられなかったこと、④海岸林最内陸ゆえ葛に祟られ、葛刈りのときに誤伐の憂き目にあったこと、⑤樹高が1mを超えたあたりで枯死が相次いだことが、印象に残ります。虫害や高温障害もあったと思います。

 クロマツの何倍も何倍もコストと労力をかけて作業しない限り、この環境での広葉樹植栽は難しいです。極めて小面積で懇ろに実施するのと、事業規模で実施するのとでは、さらに大きな違いが出ると感じます。ですが、クロマツ万能論一辺倒ではなく、内陸側の多様性や複層林化も目指したいです。

こんにちは、インターンの柚原です。
10月24、25日は広葉樹毎木調査と松枯れ調査を行いました。

吉田さんより、海岸林中のマツクイムシ病の実態やキノコや動物の話をして頂いておりますので、私からは広葉樹毎木調査に焦点を当ててお伝えします!

私たちの現場で海岸林といえばもちろんクロマツですが、実は広葉樹を植林した場所が2ヶ所あるのはご存知でしょうか。
今回は5年ぶりにその広葉樹植林地において毎木調査を行いました!

広葉樹が植えられた列(手前の赤テープの木は生き残りのコナラ)

一ヶ所目はこちらです。クロマツ林の外側に2列植えられた場所です。
一見見た感じ、ポツポツとある感じでしょうか‥早速調べてみると、ほとんどが枯死しているか弱々しい状況でした。全体の生存率は24%でした。

そして生き残り樹種は、圧倒的に“コナラ”。

実はこの場所には、コナラ、サクラ、ケヤキ、エノキ、クリなど9種の広葉樹が植林されたようですが、樹種によってかなり生存に差が出ていました。(例えば、コナラは59%、サクラ10%、ケヤキ4%)

生存率の高いコナラですが、葉や枝が奇形している帯化した個体や病気と思われる斑点が葉にある個体、塩害の症状と思われる先端部からの枯れが見られる個体も複数あり、なかなかに厳しい状況であると感じました。

この場所は現場の中では内陸側ですが、やはり塩の影響は広葉樹にとって大きいのか。そして、盛土の質(粘土質、砂質)も影響しているのでしょう。
また、自生している植物(自然に生えてきた萩やタブノキ)も印象的でした。明らかに植林した木よりも生育も状態も良かったです。

隣のクロマツを見ると、当然ではありますが広葉樹と比較してかなり成長が良いと感じました。クロマツの“強さ”が伺えます。
広葉樹の厳しさ、海岸林としてクロマツがいかにして選ばれたのかを考えさせられるのです‥
当たり前ですが、こんなにも植物に差があるとは。適材適所と言いますが、本当にそれを体感しました。

2ヶ所目の広葉樹植林地は、広葉樹の外側に一列クロマツが植えられてしまった場所で、かなり周囲が繁った場所でしたが、1ヶ所目よりも生存率は体感かなり高かったです。
コナラに加えて、クリやサクラもかなり生き残っており、樹高は高いもので4〜5mのものもありました。
ここは植林地の中でも末端域であり、将来混合林として、広葉樹が自生するのを期待して母樹として植林したそうです。

これからどうなっていくのか、興味深いです。
広葉樹は海岸林の現場では影の薄い存在かもしれませんが、この観察は様々な考察に繋がっていくと思います。引き続き見守っていきたいと思います。

【山形】庄内海岸林 松くい虫 被害対策強化を(YTS山形テレビ) – Yahoo!ニュース

 吉田です。↑ 山形テレビのニュース(1分半)、是非ご覧ください。

 「マツ材線虫病被害にどう対処するか」~防除対策の考え方と実践~ (森林総合研究所)

 この写真は、三浦さんが9月末?に撮影した秋田市・秋田港の北「夕日の松原」です。今年の東北全体は、大変深刻な松クイ被害になってしまいました。

クズに負けたマツたち

2025年11月4日( カテゴリー: 現場レポート )

お久しぶりです。浅野です。
今年もあと2か月で終わり…早いですね。
今年も6月から9月まで、のべ1000人を超えるボランティアの方々と共にクズ退治に取り組みました!
毎年やっている箇所、今年初めて手を付けた箇所など様々でしたが手を付けることができたエリアのマツは皆さんのおかげで元気に太陽を浴びることができています!

ただ、皆さんに助けていただけた運のいいマツだけではないのです…。

今年の夏も暑すぎて8月は一切ボランティアの作業はせず、さすがのプロチームでも作業がほぼできませんでした。プロチームはただでさえ少数精鋭で取り組んでいただいているため、クズ繁茂エリアすべてをカバーすることはできず…。
9月に入ってから手を付けた一部のエリアは時すでに遅しでした…。ボランティアの皆さんにもいつもお伝えしている〝放っておくとこうなる〟が私たちの現場にも出てしまいました。

今年間に合わなかったエリアには来年も元気にクズが出てきてしまうでしょう…。
松くい虫対策にクズの駆除と来年も大忙しの1年になりそうですが、ボランティアの皆さん、現場でお待ちしています!!!

 吉田です。今年3月から「越冬枯れ」が明確になった名取の松枯れ被害をずっと記録してきました。これから12月ぐらいまで枯れが進行し続けるのかもしれません。ですが、11月の福岡・宮城・宮城・岐阜・愛知の出張ロード前に、もう一度落ち着いて状況把握をと思い、11月1・2日に調査に向かいました。

 往路の常磐道沿い、思わず写真を撮ってしまいました。いわき市から明らかに被害木が増え、南相馬以北は特に酷いと感じました。宮城県内に入ると松はあまりなく、ぱっと見、被害は確認できませんでした。仙台空港ICと名取IC施設内などは、あらためて確認しに行きたいと思ってます。

 下記は相馬市の「松川浦」北部の9月の様子です。

 「マツ材線虫病被害にどう対処するか」~防除対策の考え方と実践~ (森林総合研究所)

 吉田です。私にとって、今年のいきものは何といっても「マツノマダラカミキリ」と「マツノザイセンチュウ」です。いわゆる「松くい虫病」の名取海岸林・内陸防風林への侵入。その暗澹たる気持ちは、ちょっと横に置いて、10月24・25日、柚原さんとの広葉樹毎木調査と松枯れ調査した時の写真です。

 マツクイムシ病の枯死木は、キツツキがカミキリの幼虫を探してつついた穴だらけ。10月3日に見た時の小さな穴とはまるで違いました。この1ヵ月弱、キツツキがたくさん来ていたんですね。枯れた樹皮もはがしてました。地元の三浦さん曰く「コゲラもアカゲラも確認しています。餌になる幼虫を探して松林を巡回しているはずです。穴がたくさんあいているということは現在進行形。待ってると見れるかもです」とのこと。次は待ってみよう。アカゲラはまだ見たことないし。

 地元農家の間で噂になっていた「海岸林付近にニホンカモシカがいる」という話は本当でした。地元の人が自分で撮った写真を見せてくれました。たしかにクロマツの防風垣が写っています。2011年頃、広葉樹のタネを拾うために、山奥の名取と仙台市境付近で、何度もカモシカを見ました。はぐれて、名取川を河川敷伝いに降りてきたのかもしれません。名取の海岸林にカモシカがいるなんてことは普通ではない。

 イノシシを見た人もいるそうです。畑が荒らされたという話を聞きました。海岸林内でも、落葉したクロマツの葉が多い場所を鼻で掘ってミミズを探した跡は珍しくありません。私はまだイノシシも見ていませんが、5月にアナグマを撮影しました。アナグマの掘った穴は、キツネが再利用するようですね。柚原さんと歩き回っているときに、今まで見た穴と比べてとびっきり大きい穴を見つけました。

 次はクマか・・・いくら何でもここまで来るとは・・・今回は鳥の写真がない写真報告です。

こんにちは、インターンの柚原です。
今回は10月5日に開催された「育林交流集会」についてお伝えします。

概要や重要な情報は既に吉田さん寺田さんが報告して下さっているので、私からは少し焦点をずらした個人的な感想をお伝えします。

はじめに、集会のオープニングを務めた宮城県農業高校・科学部の方達は本当に圧巻でした。
研究内容はもちろんですが、プレゼンテーションが非常に印象的でした。

おそらくこれまで何度も発表する機会があったとは思われますが、スライドの作り、喋り方、聞き手へのアプローチ、至る所に工夫がなされていました。

そしてまた、個人的に気になったのは、有機酸による植物耐塩性と乾燥耐性の向上。
実は、ウズベキスタン砂漠化防止プロジェクトの冨樫先生からも伺ったことがありました。
プロジェクトに限らずとも、カラカルパクスタンで活動する中で切っても切り離せない現地の課題が、深刻な塩害です。

ということで、有機酸の持つ力に着目して、少々調べました。

酢酸を植物に付与すると、傷害応答に関わる植物ホルモンの一種であるジャスモン酸が合成され、ストレス耐性に関与する下流遺伝子ネットワークが活性化されることで、乾燥耐性が上昇するとのことです(https://www.jst.go.jp/seika/bt2019-08.html)。
さらに、酢酸やクエン酸などの有機酸は土壌中の栄養分を可溶化させたり、植物の根を強化したり‥と実は色々な側面からの力を持っているようです。

今後何かに繋がりそうな重要な情報を知ることが出来、非常にワクワクしました。

そして、集会のプレゼンターである、小西美術工藝社の福田氏、日本建築家協会の齋藤氏、オイスカの吉田部長による講演とパネルディスカッション。
3人とも一見別分野であり、話の内容も焦点もかなり異なっていました。
そんな中で繋がっていたのが、地域、現場の人とのつながりを重視する姿勢です。

小西美術工藝社の福田さんは、漆の原木のある岩手県二戸市を生産の拠点として活動を行なってきました。その話の中で、地域の方との関わり方が印象的でした。
福田さんは地域の方との関係性作りを大切にされていて、仲を深める機会を作ったり、挨拶を意識して社内の人に指導されたりしているとのことでした。

オイスカの吉田さんは、海岸林プロジェクトを宮城県名取市で始めました。
いつも私が感じていることですが、なんと言っても吉田さんや浅野さんは名取の方やボランティアリピーター達と圧倒的に仲が良いのです。
それは、プロジェクトを共に進める仲間であり、お互いの力を尊重して高めあう関係であり、たわいなく笑い合える友達であり‥
そういった姿を見ていると、吉田さんや浅野さん達がどのようにプロジェクトを進めていたのか、そしてプロジェクトの人としての魅力がよく分かります。

何十年と続く森作りの基盤には人がいて、実はそこをどれだけ深め、繋げて強くしていくかが必然的に重要となるのです。そこに住んでいるわけでも、直接的な関係性があるわけでもなかった、厳しく言えば他所者という立場から現場で動き出し継続するには‥

これは、私も留学を通してとても考えさせられたテーマの1つでした。
そのことを改めて今回考えることができました。

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