Post2020雑感⑩ 森づくりは人づくり ~不断の人材育成の必要~

●ベテランと中堅・若手の組み合わせ
私はプロジェクト全体を預かっているものの、現場では佐々木統括の指揮下に入ります。
この5年、多くの関係者に鍛えられ、支えられてきましたが、佐々木統括、清藤参事、
松島森林総合の佐々木勝義さん、東大名誉教授の太田猛彦先生なしに、この事業はあり得ません。
実践型のベテラン、シニア層の活躍・活用は社会にプラス。それに脚力のある
中堅・若手が、時々叱られ、ぶつかりながら、主体的に従うという図式でした。
技術の柱、理論の柱はベテランに、行動の柱は中堅がという分担はこれからも変わりません。
●いわゆる専門家と、実践家の違い
「事業規模・実践論で考える人が少ない」ことに苦労した5年でもありました。そういう私も、
反対側に陥ることもありました。佐々木統括にも、その点の甘さを見抜かれ、鍛えられました。
2011年7月、法人寄附第一号の三菱UFJニコス㈱の佐々木宗平社長が「これは大変だぞ」とコメント
したと、直後に社員さんから聞きましたが、非常に嬉しく思いました。規模感、コスト感を一瞬で
見抜かれたのだと思います。この言葉は私にとって何よりの励みになりました。
しかも、銀行家の中の銀行家から言っていただいたのですから。とにかく試験レベル、イベントと、
事業は根底から違います。肝心要では、ちょっとした失敗が、大きな損失に繋がるのですから。
●技術者の不足
行政は世論からも、公務員改革、人減らしの流れをたどり、結果、復興最前線は苦境に立ちました。
阪神大震災の時、某自動車会社はタイヤの多くを被災地に主力工場を持つメーカーに頼っていたため
大損害を受けました。あの時、「あそびのない現場はこうなる」と父が言っていました。
農林水産業全般において、現場に精通した人が不足してゆくでしょう。一人前になるのに10年は
かかるでしょう。バブル崩壊後、新卒採用を手控えたため、どこの組織も中堅の人材不足、
若手の育成が遅れている。海岸林のボランティアの日には、他県の行政マンが来ることもあり、
視察も相次いでいます。実践論・技術の研鑽を希望する人が集う場所でありたい。

宮城県職員森林土木研修で指導する佐々木統括(緑の帽子)

宮城県職員森林土木研修で指導する佐々木統括(緑の帽子)


●技術の継承
「海岸林施業は忘れかけられた技術」と言った方がいました。佐々木統括はご自身の経験に加え、
独自で技術の掘り起こしをしてきました。それを「次世代につなげる」という意識を強く持って
います。その対象は、私たちであり、「事業規模の植栽自体、ほとんど経験がない」森林組合の
作業班であり、行政当局でもあると思います。オイスカ版「宮城県南部海岸林再生マニュアル」は
必ず作りたいと思います。佐々木統括への聞き書きになるかもしれませんが。
また、私自身が佐々木統括の立場を担うことは能力的にできません。経験した世界が違います。
生半可の経験ではとても太刀打ちできない。佐々木統括とともにしてきた5年を振り返ると、
「統括はこのために生まれてきたのではないか」と思うほど、人生のすべてが生きて、あらゆる
ことを応用していると思います。鍛えていただいている今、本当に幸せに思います。
先輩から盗むしかないのですから。
●人づくりは大きく3つ
①野戦を担える実践家の育成
②経営・運営ができる市民の育成
③市民ボランティアの育成、市民全般への啓発
2015年3月の「現場を歩こうツアー」150人参加。2016年は3月13日 (募集中)

2015年3月の「現場を歩こうツアー」150人参加。
2016年は3月13日(募集中)


●若い世代へ
正直なところ、子どもたちにわが現場に来てほしい。ですが、教育の現場からも、親からも
そういうリクエストは全くないに等しいのが現状です。昨年、初めて仙台市、松島町、大河原町の
小中学校からオファーが来ましたが。まず、一人でも多くの教員、父兄に情報が届くよう努力を
します。海へのナーバスな感情が多々あるのは事実ですが、もう、震災から5年です。
ただ、「子どもたちのためにと言いながら、大人が上げ膳据え膳するイベントが多い」と、
私がPTA会長をしていた時の校長先生が言っていました。全く同感です。新学習指導要領の柱は、
「アクティブラーニング」。自分で考える力をつけるのが主眼と理解しています。
また、震災の時に小中学生だった子たちが、大きくなっています。何かしたいという気持ちがある
若い衆と出会いたいですね。農林水産業の担い手になろうという人が増えるといいなと思います。
いずれも地道ですが、意識的にコツコツ進めております。5年、10年かかると思います。
私自身の立場も①②でもあります。成長しなければならない立場。
今年はどんな出会いがあるのか、どんな出来事が起こるのか、楽しみです。
宮城中央森林組合作業班への造林講習会

宮城中央森林組合作業班への造林講習会

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